【A3!】ワンシーン・ワンカット【皇天馬】

第1話 ページ1

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今をときめく若手俳優、皇天馬。
彼と出会ったのは今から10年前。
とあるドラマでの共演が最初。




『椎名涼役、松岡Aです。よろしくお願いします』

『新堂隼人役、皇天馬だ！よろしくなA！』




……え？誰この愛想いい少年はって？
ほら、まだスレてないからさ。彼も。
2世だからって最初からでかい態度取るやつなんていないよ。そんな2世いたらそれは多分親が三流。

まぁそんなこんなで。
結構仲良かったんよ私達。
お互い2世だし。歳同じだし。
周りの共演者は大人ばっかりだったしさ。




『ここの台詞ちょっと変えていいか？』

『サッカーの練習付き合えよA！』

『お前、台詞覚えるの早いな…』

『すげーなA！かっけぇ！』






…気付いた？
そうなの。彼ね、私の事男の子だと思ってたの！
10話で私が男装少女だってバレるじゃない？
その台本もらうまで本気で気付いてなかったらしくてさ……ふふっ……

このドラマの時は、1話分の撮影終わったあとに次の台本を貰う感じだったんだけどね？
読んでる時に隣で彼が急に叫ぶから皆どうした？ってこっち見るわけ。
彼は私から距離取って、信じられないって顔で




『A、お、おま、い、いつから女だった！？』

『…生まれた時からだよ？』





現場、大爆笑。
私あの大御所があんなに笑ってるの初めて見たよ。
そして彼が思いの外馬鹿でびっくりした。
…褒めてる褒めてる。あー子供っぽくて可愛いなーって。……ホントだってば。

私も私で役作りのためにずっと男の子の格好してたし、性格も寄せてたから。
…そこは流石って言ってほしいんだけど？
私だって天才子役だし！

俺様何様天馬様？……ふはっ、それウケるね？
確かに彼は凄いと思うよ。
私まだあのレベルの子役タレント見たことないし。
あ、私は勿論例外ね。
似てるって？この話の流れでそれって私貶されてる？…まぁいいけどさ。


ドラマは無事に大ヒット。
皇天馬の輝かしい役者人生開幕、ってわけ。
私はその後モデル業やりながら舞台に移ったからそれ以来彼とは共演してないよ。





「…で、何が言いたいわけ？」






――うん、だからね。
私の中で皇天馬は、新堂隼人なの。
あの頃から変わらず、
肩を並べる相棒なのさ、私的には。






「そんな相手と、キスシーンなんて出来ないの」

「…プロ失格」

「うるさいなぁ！…でも、正解」







10年ぶりの再会。
なのに私の時間は、止まったままだった。

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