【刀剣】揚羽蝶の姫【乱舞】 (ページ19)

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確カメルページ19

私は、貞ちゃんが泣いてる所を初めて見た。
貞ちゃんだけじゃない。
他の誰かが泣いているのを、初めて見た。

皆、私の為に泣いていた。

「ご、ごめんなぁ……A……俺が、俺がもっと、し、っかり、して、」

「貞ちゃん泣き過ぎ……イケてる顔が台無し」

「うぅ……Aー……」

「私の方こそ、ごめんね。
怖い思いさせて、嫌な思いさせてごめんね。

心配してくれてありがと」

そう言えば、やっと彼はいつもの笑顔を見せてくれる。
他の皆にもありがとう、大丈夫、って言えば、
心配かけんな、って言いながら笑ってくれる。

歌仙は呆れたように笑うし、
光忠はちょっと泣いてるし、
和泉も泣いてるし、…ていうか秋田に慰められてるし。
薬研はお土産だと言って鯛をくれた。…なんで鯛？
清光は優しく撫でてくれる。

皆笑ってる。
その中心に、私は居る。

「まったく……貴女のせいで俺の仕事が増えたじゃないですか」

「それは、……悪かったと思うけど」

「貴女のせいで歌仙と光忠は調味料をめちゃくちゃにしてマトモな飯になりゃしない。

お詫びも兼ねて内番の手伝いをするように。
1週間は扱き使うのでそのつもりで」

「え、え～……」

上総は溜息をついて腕を組んでいるけど、
いつもの眉間のシワが、少し薄かった。

( なんだ、長谷部の言う通り )

少し前の自分の発言に
愚問だと返した長谷部を思い出して、
本当にその通りだったと、身をもって知ることが出来た。

そうしたら、今までよりももっと、
みんなが好きになって、知りたくなった。

＿＿＿＿私自身を、知って欲しいと思った。

「私ね、皆と出逢えて良かったと思う。

皆が＿＿＿＿……好き、だよ」

私はよく泣くようになった。
よく笑うようになった。
よく話すようになった。
少し、自分が好きになった。

「そんなのとっくに知ってるぜ！」

「おや、顔が真っ赤じゃないかい！酒を飲んでもないのにねぇ」

「俺っちはAが思ってる以上にAの事を愛してるぜ？」

「！…誰ですか薬研にこんな言葉を教えたのは！っお覚悟！！」

「いち兄落ち着けよ…」

( 私が私で、よかった )

・

それから、皆は手入れに行ったり内番に行ったり。
散り散りに部屋を出て行くのを、
少し寂しく思った。

「…………行光？」

ただ、
私の隣に座って手を握ったまま動かなくなった彼をどうしよう？