【刀剣】揚羽蝶の姫【乱舞】 (ページ18)

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曝クページ18

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だって、こんなのは初めてだから。

気が付けば独りだった。
周りの目は冷たかった。
いつだって、距離は縮まらなかった。
何処にいても、何をしてても
＿＿＿＿私はまるで、亡霊だった。

だけど、やっと今、私は。
ここで生きているのだと感じてる。
彼は、彼らは、

( 絶対に目を、合わせてくれる )

私の目を見て、
ちゃんと言葉で伝えてくれる。

「巫山戯るな」

だけど、
へし切長谷部という刀はいつも
少し悲しそうに私を見ている。
彼の前で泣いてしまった、あの日から。

そしてまた、私は彼の前で泣いてしまうのだ。
泣くのは好きじゃない。叱られるから。
なのに彼の前では、我慢が出来ない。

不器用で下手な優しさに
胸が苦しくてたまらないのだ。

「それを、悪いことみたいに言うな。
そして、＿＿＿＿それがお前だけだと思うな」

強い言葉も、強い目も、
大きな手も。
彼は私の存在を、確かめる様に触れる。

戸惑いながら。でも、確実に。
私という一人の人間を、見ている。

それからぎこち無く笑ってみせるのだ。

「お前がそう思うように、
お前以上に大切なものなんて俺達には＿＿俺には、もう何も無い。

俺が怒るのは、太鼓鐘が悲しむのは、
それをお前が知ろうとしないからだ。

だれもお前を責めたりなんてしない、軽蔑もしない。
きっと、良くやった、怖かっただろう、と慰め、褒めてくれるだろう。

だけど俺にはそれが出来ない。
お前を＿＿＿＿Aを泣かせてしまった事が、傷つけてしまった事が、許せない。

＿＿＿＿守りたかった。
もうAの泣くところなど見たく、ない」

困った様に眉を下げながら、
そっと頬に流れた涙を拭う。

本当はもう、分かってる。
誰も私を嫌な目で見るモノなんていないって。
そんな事する皆じゃないって。

知ろうとしてない訳じゃない。
ただ、誰かを信じるのに臆病なだけだ。
自分を理解してもらうための方法を、知らないだけだ。

「じゃあ、＿＿＿＿ちゃんと、あいしてくれる？」

ウンザリするくらい言葉で伝えてよ。
嫌になるくらいそばにいてよ。
私が、私を好きになるくらいに。

「愚問だな。……今更すぎるぞ」

あやまりたいことがある。

いいたかったことがある。

「皆を、信じてなくてごめんなさい。
貴方に縋って、ごめんなさい。

ありがとう」

そう言ったら、
貴方は上手に笑ってくれるかな。