【刀剣】揚羽蝶の姫【乱舞】 (ページ13)

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恥ヲページ13

人々の賑わう声と、活気。
本丸を出てみれば、また違う世界のような気さえする。

人目をなるべく避けながら、貞ちゃんは私の手を引いて進んでいく。

「かしゅーの爪紅は買っただろ？あと、粟田口の靴下。それから…」

「手合わせ用の竹刀だよね」

「そうだな！はぐれないようにしっかり握っとけよA」

「はいはい」

伊達男、というだけあって貞ちゃんは恰好良く私をエスコートしてくれている。
とは言え見た目は子供なので他人から見れば、弟に手を引かれる姉、のように見えるのだろうが。

こちらを気遣いながら手を引く様は素直にかっこいいと思った。
……光忠直伝だったりするのだろうか。

「まいどありー」

( これで買い出しは終了、よし )

新調したばかりの竹刀を見て目を輝かせてる貞ちゃんは、やっぱり見た目相応なところもある。

「これで終わりだな！帰ろう！」

「うん。あんまり遅いと光忠が心配しそう」

「きっともうしてるぜ！」

少し重くなった荷物を抱えて、来た道を戻る。
日が暮れてきたからか、先程よりも人の数が増えてきた。
はぐれないように、見失わないように慎重に歩く。

＿＿＿＿が、

「痛ェ！！んだこの餓鬼！！」

「貞ちゃん？！あの、すいません、悪気は…」

「あぁ？態とぶつかってきたろこの餓鬼は！腕折れちまったらどうしてくれんだァ？」

「わ、悪かった！俺の不注意だ！すまん！」

「御免で済む問題じゃァねェよ！！」

明らかに不審な男。
さっきまでの活気は何処に行ったのか、人々は遠巻きに私達を見つめている。

腰には刀。下手をすれば切られかねない。

( 面倒な事に、なった…… )

考える暇も与えない程、男は訳の分からない事を喚いて威嚇する。

「そら！さっさと治療費出せよ！！」

＿＿＿＿そう、つまり此奴は金が欲しいのだ。

見た目だけなら子供と、女。
抜刀しまいと堪えてる彼が刀の付喪神だなどと知ることも無く、私達ならカモれる、と。
そういう事なのだろう。

「いっ……！」

「金が出さねェならこっちの嬢ちゃん寄越しな！」

「A！…手前ェ……！」

「はっ、餓鬼が……一丁前に威嚇してんのか？その腰に付いてるもんも随分小振りじゃねェか

＿＿＿＿おもちゃかよ」

っ、

「きゃあああああ！！」

私は、自分を恥じた。

彼に、誇り高き刀である彼に、

こんな言葉、聞かせてはならなかったのに。