【刀剣】揚羽蝶の姫【乱舞】 (ページ12)

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仲良シページ12

「Aー！一緒に買い物行こーぜ！」

そう誘ってきたのは貞ちゃんこと、太鼓鐘貞宗という短刀だった。

この本丸に来てひと月。
元々兄貴肌なのか、私に懐いたのかよく気にかけてくれている1人だ。

美味しいご飯を作ってくれる光忠と、アジアンクール倶利伽羅と、ついでに真っ白ジジィとは旧知の仲だという。

いつも服装をバッチリ決める彼が今着ているのは、普段とは違う、彼にしては地味な袴だった。

「貞ちゃんにしては珍しい服着てるね？」

「あー…なんか政府からの通達でな、町に買い出しに行く時は地味な格好を心掛けて……何だっけな？
まあ要するに目立つなって事らしいぜ！」

「ふーん？」

５分後に門の前な！とだけ残して彼は何処かに行ってしまった。
実は、この本丸に来た次の日以来、外に出るのは初めてだ。
と、いうのも買い出しに来るのは他の本丸の審神者も同じで、私はあまり他の審神者の目には触れていはいけないとかなんとか……

いずれにせよ、外に出るというのは心が弾む。

「おーA、何かあったのか？」

「あ、薬研。貞ちゃんと買い出しに行ってくる」

「そうか。……太鼓鐘なら大丈夫だと思うが……気を付けてな」

「うん」

貞ちゃんの色味に合わせて少し色の暗い着物に召し替え、白の羽織を纏う。
実はこの羽織、作りが鶴丸のと全く同じで本丸に出る時は必ず着用するようにときつく言われている(主に歌仙に)。

( よし、大丈夫 )

ふと、時計を見ればギリギリの時間。
怒られない程度に急いで私は貞ちゃんの所へ向かった。

「あ、A！」

「ご、ごめんね、ちょっと遅れた…」

「時間くらい守りなさい。れっきとした任務ですよ」

「げ、上総」

不機嫌そうに腕を組む長身の男、上総。
来た当時よりは柔らかくなったものの、まだ私に対する当たりは強い。

たまに書類の手伝いとかを押し付ける鬼畜、というのが今の私の彼に対する印象で…

「貞宗。大変だと思いますが子守り頼みましたよ」

「？おう！」

「貞ちゃん。雄狐なんて相手にしなくていいんだよ。油揚げ買ってこようね」

「誰が狐だ誰が」

ほんとにいらん事を言う気に食わない奴には変わらないけど、

「＿＿＿＿心配させるようなことがないように」

実は過保護なものだから
憎めんかったりする。無念。