【刀剣】揚羽蝶の姫【乱舞】 (ページ1)

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始マリページ1

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＿＿＿＿何かに、追われていた。

「っは、は、……はぁっ……は…っ」

振り返るなんてできなかった。

怖くて、ただ怖くて。

私の知らないものが＿＿＿＿人で無い何かが、
私を狙って追ってくる。

肺が焼けるように熱くても
どんなに足を止めたくても

止まってはいけない。
止まればきっと、私は。

「…っ誰か……誰か……！！」

途切れた呼吸の隙間で、必死に助けを呼んだ。

そんなものは無いよ、と言われ続けていた。

けれど、もしも。

( 神が、いるなら＿＿＿＿！ )

「あぁっ……！！」

崩れ落ちた身体は、もう動かない。

やっと視界に入ったその気配は

私に向かって手を伸ばした

＿＿＿＿が、

「柄まで通ったぞ！！」

その手は、遥か彼方に飛んでいた。

「…あ、……っ……あぁ……」

わからない。
わからない。わからない！
何が起きてるの。
私の目の前で、
今この場所で、

( こんなのは、おかしい……やっぱり、 )

＿＿＿＿『御前ハ悪魔ノ子』
＿＿＿＿「君、大丈夫！？」

「は、離せ……っ！！！！」

溢れて止まらない涙が。
悲しいくらい震える身体が。
開けない瞼が。

私の全てが＿＿＿＿拒絶していた。

断末魔の叫びに混じる複数の声が恐ろしくて。
その手に握るものが何なのか、解って。

「ならば、耳を塞いでやろう。
＿＿＿＿何、怖くなどないぞ人の子よ。
俺達は、お前を救いに来たのだから」

そっと包まれる感覚。
香る強い血の匂い。

だけど、何かが違った。

薄く開いた目に映ったのは

( ＿＿＿＿みか、づき )

まるで吸い寄せられるように
そこで私の意識は途切れてしまった。

……＊

「少女は保護した。…戦況は？」
「全敵破壊。負傷者も無しだぜ、旦那」
「第三、第四部隊はまだ交戦中みたいだね…どうする？僕らは帰還する？」
「その方が宜しいのでは？どうやら気絶してしまっているようですし」
「主殿から連絡ですゾ！」
「はいはーい！……第一部隊、堀川です」

『全部隊に告ぐ。
……任務は達成。
交戦中の部隊も含め、速やかに帰還せよ。

超絶不本意ですがちゃんと連れ帰ってきてくださいね。
不本意ですが！』