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とりあえず何でもいいから言わなくちゃ。


この空気をはやく壊さなくちゃ。





『…………は、ははは、五条さんでもそんな冗談言うんですね。』



途端、五条さんの顔がどんどん曇っていく。

生憎そんなのに構ってられない。




『五条さんの冗談って嘘なのか本気なのか分かりにくいんで嫌なんですよねー。』

五「だから、冗談でも何でもねぇって。」

『あ、補助監督さん来ましたよ。ほら、待たせちゃ駄目ですから。』




先に行ってますね と歩き出そうとした時、





五「何で逃げんだよ。」







いつになく真剣な顔で腕を掴まれてそう言われた。







『……男と男ですよ?2人とも子供が産める訳でもないし、結婚ができる訳でもない。』


五「だったら何なんだよ。そんくらいで好きになったら駄目な理由になんのか?」




どんどん五条さんがヒートアップしてくるのが分かる。






今の五条さんが、あの時の僕と重なって余計に苛立ちが増す。










だから、












言っちゃったんだ。
















『…………"男同士なんて気持ち悪い"。』

五「は、?」












今まで散々言われたその言葉を。















『そう思う人もいるんですよ。この世の中にはいっぱい。』


















五条さんの手は簡単に振り解けた。




『……待たせてるんで、先行きます。』





それだけ言って立ち去ろうとした時、



















五「お前は本当にそう思ってんのか?」






怒りよりも悲しそうな青い瞳が僕を捉える。















『……………はい、そう思ってますよ。"普通では無い"って。』















五「……けど俺は、」










五「それでも俺は、お前の傍にいたい。」















分かんない。



分かるわけない。














だから聞こえてないふりをした。

















作者はLGBTQの当事者でもありますので、偏見等一切ありませんし差別を絶対許しません。
このお話を読んで不快になられた方、申し訳ございません。

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作者名:リラ | 作成日時:2023年12月14日 10時

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