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その後のことはあまり覚えていない。
いつの間にか家にいて、いつの間にかまたいつも通りを過ごしていた。
ひと1人分空いた隣を虚しく感じながら。
人間悲しすぎることが起きると、脳が防衛本能なのか忘れようとするというのは本当だったようだ。
高専への入学が正式に決まった3月の終わり。
満開には程遠いが桜がちらほら咲き始めてる。
そんな日に突然、僕の家に来た翔の母親から手紙を渡された。
「あの子のことはあまり良く思っていなかった。それでも
それだけ言って帰ってしまった。
正直、もうあまり何も感じなくなっていた。
心に空いた穴が大きすぎて、もはや最初から無かったものだったのではと錯覚し始めていたから。
手紙は案の定、翔からだった。
僕より大雑把な性格の癖に、字は綺麗だったよな なんてぼんやりと思う。
「Aへ
手紙でとか、何だかドラマチックだよな。 ちょっとやってみたくてとか言ったらお前は怒るか。
こんなん直接渡しに来いって感じかもしれないけど、それが出来ないんだ。
持病でお前と会ったあの時から死ぬ事は決まってた。
だからお前と仲良くなるのは嬉しかったけど同時に怖かった。
こいつが生きている世界にもっといたいって。もっと俺が守ってやりたいって、死ぬのが怖くなった。
このことをお前に話したら謎の罪悪感とか背負っちゃうだろ？
何より俺の勇気が足りなくてあの時逃げた。本当にごめんな。
俺はお前と2人なら本当になんでも出来る気がしたんだ。
Aに出会って、初めて生きてるって感じれた。
もし次に目が覚める時があったとすれば、どんな関係であれ
俺の隣はAがいいな。
翔より。」
どうでもよくなってたはずなのに、涙が止まらない。
やり場のない感情に蹲る。
そんな日が続きながら高専に入学した。
最初教室で泣いてるの七海に見られた時は焦ったなぁ。
「A！」
五「おーい！A！」
翔と似ている貴方まで失ってしまうのが、怖いから。
だから＿＿＿＿＿＿
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Grover Washington Jr.さんの「Just the Two of Us」をテーマに書かせて頂きました。
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作者名：リラ | 作成日時：2023年12月14日 10時
