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色んな場所に行った。
お金もそんなにないから、すごい遠くまで行くことは出来なかったけど
全部が綺麗に見えた。
手も繋いだし、キスもした。
恋人なのかは分からないけど、お互いの気持ちが通じあってはいたんだ。
翔「Aー!」
笑って僕の名前を呼ぶ翔がいるなら
「気持ちわりぃんだよ!男同士なんて!」
「まだ付き合ってんの?」
「どうかしてる、」
「……" 普通 " になんであんたはなれないの?」
友達に家族に他人に
何を言われたって何ともなかった。
季節が巡って夏になった頃、翔が身体を壊すことが多くなった気がする。
『受験生なのに大丈夫なの?』
翔「けほ、げほっ、…ん゛ん、まぁ何とかなんだろ。てかそれはお前もじゃん。」
『僕は………高校決まってるようなもんだし。』
翔「がちかよ?!えー……」
話を終わらせようとすると、
翔「じゃー俺もお前の行くとこ受ける。」
『は、?』
翔のその一言に、頭が真っ白になった。
翔「なんだよ、そんな真っ青な顔して。何、そんな偏差値高いの?」
『いや、そうじゃ、なくて……』
翔「まー任せとけって。」
『ちがっ、!』
ばっと翔の方を向くと、不思議そうな顔をしてる。
だめだ。だめなんだ。
翔は絶対に。
『やめて…お願い、』
掠れるような小さい声でそう呟いた。
翔「んでだよ。俺ら2人でいれば…、」
『違う!』
大きな声で翔の言葉を遮った。
『翔には、生きてて欲しいから……』
ぽろっと零れた本音に焦ってしまう。
いくら翔でも、呪霊のことなんて話してない。
こんな話通じるわけが……
恐る恐る顔をあげると、
翔「……そうか、わかった。」
苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
翔「………皮肉だよな、」
何か言ったが、聞き取れない。
『か、かける、?』
目を一瞬閉じたかと思えば、またいつもの笑顔に戻った。
翔「ん?てかアイス食いに行こーぜ!あのいつものやつ!」
『え、あ、うん、』
翔「ほら、早く行くぞー。」
笑ってる翔を見たのはそれが最後だった。
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作者名:リラ | 作成日時:2023年12月14日 10時