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店に戻って、あたりの棒を見せるともう一本アイスを選んでいいということで
2人で分けれるやつを選んだ。
『当たったこと何だかんだなかったです。』
五「ふーん…ま、俺といるからじゃね?」
アイスを咀嚼しながら、ドヤ顔でそう言う五条さん。
『まぁ、確かに。五条さん顔と運は良いですもんね。』
五「あ゛?」
『嘘です嘘ですめっちゃ嘘です。』
五「他にも良いとこあんだろ、…たぶん、」
最後の方の声が小さくなってて吹き出しそうになった。
『ほんとに久しぶり食べたなぁ…これも、』
ソーダ味のアイスキャンディ。
五「ソーダ味って何で青色なんだろうな。」
『えー……爽やかな感じだからじゃないですか?』
五「けど、ソーダって味でもねぇよな。かき氷のシロップと同じ感じがする。」
『それは言っちゃ終わりですよ。』
顔を見合わせて笑ってしまう。
五「なあ、」
『ふふ、…は、…ふぅ、なんですか?』
いつもソーダみたいに青くて、僕にだけ甘いその瞳が
五「さっき、誰のこと思い出してたんだよ、」
しゅわしゅわとではなく、ゆらゆらと僕を映していた。
『さぁ、誰でしょうね。』
五「そいつは、
今どこにいんの?」
どこだったかなぁって惚けることが出来なかった。
『もう居ないですよ。どこにも。』
あいつが居なくなったのも、夏だったな。
そう思った瞬間、口から淡々とそうこぼれていたから。
五「…ごめ、」
『五条さんは、』
『夏が好きですか?』
五「……お前がそこにいるなら、好きだよ。」
そうだよね。僕にもそんな気持ちがあったんだけどな。
『僕は夏が嫌いです。』
『でも』
『夏に消えるような奴はもっと嫌いです。』
『切なさだけ残して過ぎ去っていくって酷くないですか?』
全部、全部夏のせい。
五「A、」
僕から滴り落ちる水滴を、五条さんの指が拭う。
五「俺じゃ、だめ?」
『あとで、話したいことがあるんです。』
まだ僕が目を合わせることの出来ないあなたに。
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このお話主人公の過去編のため少し長くなります。
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作者名:リラ | 作成日時:2023年12月14日 10時