2人なら ページ11
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梅雨が明けて、いよいよ夏が始まる。
その合図かのように蝉がうるさく鳴いてる。
五「あ゛っぢぃ〜〜……こんなクソ暑いなか任務とかやってらんねーわ。」
『まあまあ、後は補助監督さん待つだけですし…我慢しましょう。
にしても遅いですね……なんかあったのかな、』
任務が終わり、補助監督さんに連絡をするも返信がかえってこない。
五「コンビニでも行くか。」
シャツをパタパタさせながらそう言った五条さんに賛成して後をついて行く。
『五条さん決まりました?』
五「おう。これ。」
『……こんな時によくそんな甘いの食べれますね。さすがです。』
五「それ褒めてないだろ。」
チョコ系のしかも中にもチョコソースが入ってるアイスをチョイスしていて、さすがに顔が引つる。
五「お前は決まってんの?」
『あ、はい。』
五「ん、買ってくる。」
いつの間にか手からアイスを取られ、さっさと支払いに行ってしまった。
……こーゆーところが本当にずるい、
五「ほら、溶ける前にさっさと食おうぜ。」
『わ、ありがとうございます、』
投げられたアイスを受け取り、歩きながら食べる。
五「それ美味い?」
『はい、これ好きなんです。』
1口あげないといけない流れでは…
『い、いりますか?』
遠慮がちにそう言って、横をちらっと確認すると
五「! いる、」
サングラスの奥で嬉しそうに目が細められてるのが見えて、
なんだか胸が締め付けられる気がした。
五「ん、あんがと。これいるか?」
『……いや、大丈夫です。すみません。』
いじけた顔をする五条さんが子供っぽくて笑ってしまう。
五「……それ当たりとかあるやつだよな?」
『ああ、そうなんです。中学の頃よくこれで盛り上がってたなぁ。』
今はもう、ただの思い出になってしまった日々。
「A!」
聞こえるはずのない声が、今もまだ名前を呼んでる気がする。
五「…A、A!」
『へ?!は、はい!』
必死に指を指してる方を見ると
『え、うわ、!最悪……!!』
アイスが完璧に溶けていた。
手が…べっちべちゃ…、
五「手拭け…ってお前これ!」
ハンカチを渡してくれたかと思えば、
五「当たってんじゃん!店戻るぞ!!」
僕の手を掴んで走り出すその姿から、何故か目が離せなかった。
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作者名:リラ | 作成日時:2023年12月14日 10時