分かってないよ ページ2
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何となくで始めた呪術師。
こんな俺でも一応役にたてるなら、まぁそっちの方が良いよな。
そんくらいの気持ち。
幸い同期には恵まれ、今のところそんな重症も負ってない。
先輩達とは最初は怖くてなかなか話せなかったけど、なんやかんやでたまに話す仲にはなった。
夏油さんは部屋が隣同士だから必然的に。
家入さんは治療の時とかに。
けど、中々あの人とは話せなかった。
自分と正反対の五条さん。
強くて、容姿も整っていて
性格は……難アリだけど。
自分とはまるで違う世界に住んでいて、
見ているものも、食べてきたものも好きな物も全部違うんだろうな。
そう思ってたけど、意外とそうでもなかったみたい。
任務の道中とかで少しずつ話すようになっていって、何回かご飯にも連れて行ってもらって。
漫画のネタバレしたら怒るし、辛いものを食べたら顔を真っ赤にしながら格好つけて食べる。
そんな"普通の人"だった。
だから前から気になってることがあった。
なんでこんな人に恋人がいないんだろうって。
『五条さんって何で彼女作らないですか?』
五「女ぁ?作ったところでだろ。俺に言い寄ってくるザコ共なんか相手するだけ無駄だ。
第一、女に興味ねぇよ。」
『はは、モテる男は言うこと違いますね。』
興味が無い。
いつの日か言われたその言葉に、胸の内から冷えていく気がした。
『……そ、ですよね、』
何を思ったのか、五条さんの手が僕の手を取る。
思わず顔を見ると、真っ直ぐに僕を見て
五「だって俺、
好きな奴男だし。」
何でもないように
さも当たり前かのように
そう簡単に言った五条さんを見て、
何も分かってないな
僕の冷めきった心と頭がそう訴えていた。
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作者名:リラ | 作成日時:2023年12月14日 10時