【HQ】入部理由は女子からモテるためです【男主】

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　ある日の昼下がり。


　Aと同じクラスのある女子達が、こんな会話をしていた。


｢小笠原ってさ、勉強出来るじゃん？｣
｢うん｣
｢イケメンで、スポーツ万能じゃん｣
｢……うん｣
｢……完璧じゃね？｣


　一人の女子が、今更かよ、というようにため息を吐く。


｢この前、仙台駅で小笠原のこと見たんだけどさ、弟可愛かったし、なにより……｣
｢……？｣


　勿体ぶって女子生徒はそこで止める。


　丁度いいような間が開き、もう一度口を開いたかと思うと、


｢……私服超カッコよかったんだよ｣


　と、スマートフォンを他の女子達に見せながらキリッとした顔で言う。



｢……まさか、とうさ＿＿｣
｢違うからね？｣


　有無を言わせない女子生徒の声に、場がシーンと静寂に包まれる。


　そんな静寂を破ったのは＿＿


｢……それ、オレの写真じゃん｣


　タイミングがいいのか悪いのか。Aが女子生徒のスマートフォンを覗き、怪訝な顔でそう言う。


｢あ、これは……｣
｢……間違えてカメラ起動しちゃった？ よくあるよね。今消すんだったらいいよ｣


　戸惑う女子生徒のスマートフォンをヒョイっと取り、写真を削除する。


｢これからは気をつけようね｣


　そう少し悪戯っ子のような笑みを浮かべ、去っていくA。


｢……イケメンかよっ！！｣


　女子生徒達はそう叫び、悶えたらしい。


｢あいつ、自覚持ってるよな多分｣
｢……そうだろうな｣


　知らぬが仏とはこのことを言うのだろう。


　国見と金田一は、気分が上がっていて少しだけ笑顔を浮かべているAを見ながら、そう会話を交わすのだった。



　

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