完璧なアイドルを落としたい。 (ページ12)

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not family ページ12

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お酒なんて1ミリも飲んでないのに
私の肩に寄りかかって

グリグリと自分の頬を押し付けて

すぐ甘えたモードになる。

また軽くおしゃべりをしている間に

すっかり私の家の前へと着いてしまった

間宮｢樹、ありがとうね｣

田中｢どういたしまして｣

間宮｢また明後日かな？現場で……｣

そうやって荷物をまとめて、樹の車を降りようとしていたところだった

服の袖が軽く引っ張られる

話している言葉を中断して、樹に視線を向けると

いつもとはなにか違う、真剣な表情。

間宮｢樹？、どしたの？｣

田中｢……やっぱり、Aにとって俺は本当に家族でしかないの？｣

考えたこともない

樹も、慎太郎も大我も、ジェシーもこーちも北斗も、

私にとってみんなが同等の存在で

誰かが特別になることなんて考えたこともなかった

誰かに特別に思われてるなんてことも、考えたことがなかった

樹が家族じゃないなら、友達じゃないなら

仲間じゃないなら

じゃあ…なに？

それこそメンバーとして

抱いてはいない

恋心？

例えそれがあったとしても、私がその感情を表に出すことなんて

ないのだから

間宮｢うん、樹は家族で、大切な友達。｣

田中｢…………そっか｣

間宮｢じゃーね、じゅ、り｣

私の袖を掴んでいた手はパッと離れて

勝手に帰してくれるんだと思ってた

その手は私の頬まで伸びてきて、顎から頬にかけてを片手で掴まれる

強制的に樹と目が合わせられ

その一瞬で、樹の香水の匂いが濃くなって

唇に柔らかいものが触れた。

混乱しているうちに形を確認するように、さらに深く押し当てられる唇。

離れても、樹の吐息だけでやられそうになる。

思考が、追いつかない。

田中｢俺はみんなと同じ家族だなんて思ってない｣

間宮｢…………な、｣

田中｢家族にキスなんてしない、これで俺がどう思ってるかわかったでしょ？｣

驚きと、恥ずかしさと、

なんだかすべての感情がぐるぐる回って

なにも言葉が出てこない

田中｢ちなみに女の子とチューしたのも、演技以外でめちゃくちゃ久々ね。もっかいする？｣

間宮｢……………バカ！！！！！｣

やっと出た言葉は小学生並みの悪口で

慌てて樹の車を飛び出した

どうすればいいの

最悪

最悪。