GAME OVER 彼女side ページ34
.
「A?」
こんな話しを聞いた後も
テクが私を呼ぶ声は優しい。
「ごめん、思い出させて」
喉の奥が苦しくて、熱くて、言葉が出てこなくなった。
「好きって言葉にするのが怖い?」
ダメだよ
これ以上、私の中に入り込まないで。
「すべて受け止めてやるから、素直になれよ」
もう_____
引き返せないくらいテクの事が好きなんだよ。
声に出して“好き”って言ったら
本物になってしまう。
目を閉じたまま、テクに背中を向けた。
追いかけて背中に張り付いてくると思ったのに
気配を消して動かない。
明日からテクがいなくて
淋しさに押しつぶされてしまいそうだなって･･･
背中を丸めて膝を抱える。
ふわって私を引っ張り上げて
腰も足も自分の中に閉じ込めて
「離れるな」って小さな声で言う。
幸せ･･･
だな。
強く抱きしめていた腕が緩んでいき
テクが寝息をたてて
眠りに落ちていくのを背中で感じる。
私が体を動かすと
「行くな」
緩めた手をまた強くする。
何度かそれを繰り返して
空が明るくなる頃、テクの腕の中から解放された。
夢のような時間はお終い
元の世界に･･･
テクのいない世界に･･･戻ろう。
脱ぎ散らかしている服を集めて
テクの服をきれいに畳んで
一度抱きしめてからテーブルに置いた。
この部屋で服を着ているのが
とっても不思議(笑)
体のあちこちが軋んで気怠い。
髪をまとめてクルクルとお団子を作ったら、
鏡に映る私の首筋には
テクの痕がちりばめられていた。
部屋を見渡したら、
転がってるテクのリュックにバンダナが結ばれていた。
(返せないけど･･･ゴメンネ)
心の中で言って、首に巻いた。
眉間にシワ寄せて
唇を尖らせて眠っている
愛しい顔。
忘れないように
瞬きする時間も惜しいほど見つめて目に焼き付ける。
(ばいばい)
絶対に振り向かない。
そう決めて、ドアへと向かう。
ドアノブに掛けた指が震えてて
上手く力が入らない。
上を向いて、深呼吸しながらドアの外へ出た。
胸が締め付けられて
苦しくて
振り向いたらドアが閉まって
まるで
game over
そう言っているかのように
ロックされる電子音が小さく鳴った。
やっぱり何年たっても自分勝手な女だな･･･
でも、これでいい
私はテクだけを愛してあげられない。
後悔と罪悪感に苛まれて、
私はテクの前から逃げ出す事を選択した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ceat(プロフ) - ゆうネコさん» 初めまして!読んで頂いて、とっても嬉しいです。ありがとうごさいます。最後までお付き合い頂ければ幸せです(*'ω'*)ボチボチと更新していきますので、どうぞこれからも宜しくお願いします。 (2016年12月9日 2時) (
レス) id: dde6575f2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうネコ(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます> <!!文章もとても読みやすく、どんどん読み進んでしまいます！ありがとうございます！お忙しいとは思いますが、更新応援してます！！ (2016年12月8日 13時) (レス) id: 2387d506d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ceat | 作者ホームページ：https://www.youtube.com/watch?v=O4t_b9tZT0U
作成日時：2016年11月20日 2時
