ダメじゃない ページ12
「テク･･･」
ん？と屈んで目線を合わせる。
「嬉しい。ありがと」
消えそうな、とっても小さな声で話し始める。
「でもね、すごく困ってる･･･
ううん、違う。
私も戸惑ってるのかな？」
大きな瞳に映る俺は、きっと不安な顔をしている。
「私ね、テクに触れられることも
キスされることも、嫌じゃないの」
チビの瞳が大きく揺れる。
俺もなんだか涙が出そうだ。
「突然現れたのに、
自然に心の中に染み込んで来たの、
ずっとずっと前からそうだったように自然に」
チビが俺の手をぎゅっと握り返す。
この先、聞きたいような聞きたくないような。
怖いよ。
「どうしよう(笑)
テクに気持ちを持って行かれそう。
何もかも忘れてしまいそうだよ」
先に視線を逸らしたのはチビだった。
前髪をくしゃくしゃって混ぜて
後頭部を掴んでそのまま胸に中に閉じ込めた。
「俺に持ってかれちゃダメなの？」
華奢な腕がするすると俺に巻きつく。
「･･･ダメだと思う･･･」
「ダメじゃない」
「ダメ･･･だよ･･･？」
「あーもう、ダメじゃないって！」
押し問答に声が荒くなる。
「･･･私の中にはテクじゃない人がいるんだよ・・・」
胸の辺りを突き刺されたような痛みが走った。
俺を通り越して誰かを見つめているって、
ぼんやりと気づいてたけど
本人から言われるとやっぱり辛い。
抱き締めているはずのチビが、
さらさらと零れ落ちて行ってしまいそうだ。
「知ってたよ」
「え？」
絡みついていた腕が解かれた。
「俺の向こう側を見ている事には気付いてた」
チビが俺の胸をそっと押して、俺の中から出て行く。
「そっかー、気付かれてたかー」
急に明るい声で話し始める。
けど、大きな瞳からは涙が零れそうだ。
「そこに気づくほど、俺はチビが好きって事だ」
「私ってすごく悪い女みたいじゃないの(笑)
好きな人がいるのに･･･
出会って間もない人とキスしたりなんて」
“好きな人”
ダメだ
心が引き裂かれそうだ。
辛いよ･･･。
「ちょっとセンチメンタルな気分で
盛り上がっちゃっただけよ」
「すぐに忘れるわ______」
俺は
チビの声が遠くで聞こえたような気がしていた。
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ceat(プロフ) - ゆうネコさん» 初めまして!読んで頂いて、とっても嬉しいです。ありがとうごさいます。最後までお付き合い頂ければ幸せです(*'ω'*)ボチボチと更新していきますので、どうぞこれからも宜しくお願いします。 (2016年12月9日 2時) (
レス) id: dde6575f2a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうネコ(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます> <!!文章もとても読みやすく、どんどん読み進んでしまいます！ありがとうございます！お忙しいとは思いますが、更新応援してます！！ (2016年12月8日 13時) (レス) id: 2387d506d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ceat | 作者ホームページ：https://www.youtube.com/watch?v=O4t_b9tZT0U
作成日時：2016年11月20日 2時
