Blood orange 2【Fischer's】【シルク】

第57話 新しい日 ページ10

起きて、んんっと伸びをする。

それから、ふわふわのカーペットの上に降りてから、

また伸びをする。

欠伸も、ひとつ。


今日のドレスを決めてから、

夜服を脱ぎ始めるけれど…。


｢うわ…。｣


自分の肩の周りに付いた、

二人分の吸血のあとを見ながら、


なんだか、自分がイケナイことをしているような気分になりかけて、首を振った。



違う違う。

これは、使命なんだって。



そう思って、また、はたりとする。



使命。運命。

私の、一番嫌いな言葉だったのに。

今はもう…。



そこで、とんとんとドアが叩かれて、

びっくりする。


｢A？起きてるか？｣


その声は、意外にもダーマさんで、


｢はぁい！｣


と、返事をしてから、


今、着替えてる！


そう続けようとした時、


｢入るぞ。｣


と、扉が開いて、


｢わ！｣


咄嗟に、持っていたドレスで隠した。


すると、それを見た彼は、

一瞬フリーズしてから、無言でバタンと扉を閉める。


そしたら扉の向こうから、


｢わりぃ。着替えたら、教えてくれ。｣


と声が聞こえてきて、


｢う…うん。｣


返事をする。


なんとも、気まずい雰囲気が、流れた。

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