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第56話 なんだかんだ ページ9

「いや、なんだかなぁって。」


言いながら苦笑すれば、


「大丈夫だって。」


と、シルクは笑って、


「俺が居っから。」


自分の胸を叩いた。

その笑顔は、私の心もノックする。


だけど、


「ん、ありがとう。」


そう言ってから、なんでもないように振る舞う。

シルクは、少し不満げな顔。


なに?もっと反応して欲しかった?



「あ。」



唐突に声を出したのはザカオさんで、

皆の視線がそちらに向かう。

そしたら彼は、シルクと私の方を見て、


「コートなら出来てるよ。」


と早口に言った。


コート?と私が尋ねる前に、

よっしゃああ!とシルクの声と、流石!とモトキさんの声がして、わっと拍手がおこる。

私もわからないままに、つられて何度か手を叩くけど…。


「あの…?」


と、一番冷静そうな、ダーマさんの方を見る。

すると、彼は、


「お前の、外出用のコート。」


と言った。

それに、


「そうそう。そのいい香りを振り撒き過ぎないようにするためのね。」


ンダホさんが続けたあと、


「その綺麗な肌も、守らなきゃ。」


と、ザカオさんが、恥ずかしそうに小さめに言ってから、

ね?とそれを隠すように笑った。


それを見て、照れなくてもいいのに〜と、隣のぺけさんがちょっかいをかけて、

照れてないし!と、ザカオさんは真っ赤になる。


そしたら、マサイさんが興奮気味に、


「ザカオのデザインだぜ?」


と、私を見てから、


「ぜってぇ可愛いわ。どうしよう。」


なんてため息をついた。


いや、下手な想像はよくないよ。

と言おうとしたのに、


ぱっと視界にシルクが入って、じっとしばらく見つめられたかと思うと、


「どうしようもねぇ。」


なんて、頭を抱える。


お前もか。

と、小さくため息。


全く、どうしようもない。



…だけど。



くるりと見渡すと、ワイワイ騒がしい夕食。

笑顔が、たくさん。



それが、なんだか、楽しくて、嬉しくって。


そして、何より…。



「…ありがとうございます。」



私は、口角が上がるままに、

誰に言うでもなく、小さく呟いた。

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設定タグ:フィッシャーズ , Fischer's , シルク   
作品ジャンル:恋愛
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wakame(プロフ) - HANAさん» わぁぁああ!!!お久しぶり!!!HANAしゃんんん!!待たせたぁあ!!! また書いていくよ〜!!!(*´ω`*) (2020年4月17日 14時) (レス) id: 83c6b9e631 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - Mikaさん» 大変お待たせしてしまいました…!! ぼちぼちと更新再開していけたらと思っております!! (2020年4月17日 14時) (レス) id: 83c6b9e631 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - うわぁぁぁん、更新だぁぁぁヽ(;▽;)ノ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
Mika - 未だに更新待ってるのは私だけですか…? (2019年10月13日 12時) (レス) id: 37a1820ea0 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - 更新!更新!更新〜!!!!ありがとうございましたぁ!!! (2018年7月13日 19時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:wakame | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年1月19日 20時

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