Blood orange 2【Fischer's】【シルク】

第54話 花【Silk side】 ページ7

スラスラと、自分の本の話をするダーマの姿に、

思わず目を丸くする。


彼女は、あの頑ななダーマの壁も崩してしまう。


分かったのは。


それは、彼女がオレンジだからとかじゃなくて、



確実に俺達を惹き付ける何かを持っているからだということ。



本当に、ずるいやつ。


そして、ふわふわと笑みを浮かべるAを見て、

なんだか寂しいような感じがして、ちょっと目をそらした。



なんだよ。

お前は、俺のもんなのに。



なんて。


｢なに、シルク、ヤキモチ？｣


隣で、俺の顔を覗いて楽しそうに言うマサイ。


｢そんなんじゃねぇよ。｣


言うと、マサイは、またまたぁ。と笑ってから、


｢俺の気持ち、ちょっとは分かった？｣


なんて言った。

俺も、少し苦笑気味に、


｢あぁ。ちょっとはな。｣


と言う。

それから、


｢あーあ、早く吸いてぇ。｣


と、伸びをしながら言うマサイの声を聞いてから、ぱっとモトキと目が合った。


｢美味かったろ？｣


なんて言うと、


｢びっくりしたわ。｣


と、笑う。

そしたらマサイが、ちくしょう。と小さく言って、


｢俺も楽しみだなぁ。｣


と隣でンダホ。



ったく。あいつは。



ぱっと、視線を彼女に戻す。

笑顔の花が、咲いている。



やっぱり、ほっとけねぇ。

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