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第49話 本当の【Motoki side】 ページ2

俺はもう満足だから。


それは、偽りの言葉。


本当は、もっともっと、彼女が欲しかった。


だけど、彼女が涙を流した時、

俺の心臓が大きく一度跳ねて、


そのまま、

一気に奪い去ってしまいそうだったから。



それは、ルール違反だから。



「どう?お味は?」


「美味しい。」


ほわほわと微笑む彼女からは、

さっきの涙はもう見られない。


よかった。

俺がいれた紅茶が、

そんなに美味しいか、そうかそうか。


なんて、

俺も、なんだかホッとして、自然と頬が緩む。


「本が好きなの?」


彼女は、俺の本棚と、それに収まりきれないで積み上がった本を見て言った。


俺も、紅茶を啜りながら、


「あぁ、うん。こう見えて、俺、研究者。」


答えると、


「研究者!?」


彼女の目がまん丸になって、光をたくさん集める。


あぁ、また、あの瞳だ。

ワクワクした時の。


「研究っていっても、古文だけどね。」


「へぇ、見てもいい?」


「いいよ。見ても分からないかもだけど。」


そう言って、俺の手元にあった1冊を手に取って、適当なページを開いて見せる。

彼女は、わぁ。と感嘆の声を上げて、


それから、ぱっと真剣な表情になった。


「374年、初めて…オレンジが…きた…?」


俺は、驚いて、目を見張る。


「もしかして…読めるの?」


彼女も、首を傾げ、


「うん、分かる…。なんでだろう。」


と、苦笑して見せてから、


「これで、争いは終わる。

やっと、この世界にも平和が訪れるのだ。


彼女は、俺達の希望となるだろう。」


と、読み進める。


すごい。

これは、吸血鬼の中でも、

そんなに読める奴は居ない。

かなり、古い文字。

これも、オレンジだからなのか?


俺は、興奮気味に、


「これね。かなり昔の本なんだ。んで、これを書いたのが…。」


話しかけると、


とんとんと、扉を叩く音がして、


「入るぞ〜。」


呑気な声が聞こえてきたかと思うと、

俺が返事を返す前に、扉が開いて、


「あ。」


しまった、という顔をした、ダーマが立っていた。

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設定タグ:フィッシャーズ , Fischer's , シルク   
作品ジャンル:恋愛
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wakame(プロフ) - HANAさん» わぁぁああ!!!お久しぶり!!!HANAしゃんんん!!待たせたぁあ!!! また書いていくよ〜!!!(*´ω`*) (2020年4月17日 14時) (レス) id: 83c6b9e631 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - Mikaさん» 大変お待たせしてしまいました…!! ぼちぼちと更新再開していけたらと思っております!! (2020年4月17日 14時) (レス) id: 83c6b9e631 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - うわぁぁぁん、更新だぁぁぁヽ(;▽;)ノ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
Mika - 未だに更新待ってるのは私だけですか…? (2019年10月13日 12時) (レス) id: 37a1820ea0 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - 更新!更新!更新〜!!!!ありがとうございましたぁ!!! (2018年7月13日 19時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:wakame | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年1月19日 20時

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