第73話 自慢の に【Masai side】 ページ32
｢気付いた？｣
ぱっと声がして、そちらを見ると、Aさんが五つのお冷が乗ったお盆を持って立っていた。
｢もう春だし、写真変えてみた。｣
なんて無邪気に笑う。
それから、机の上にお冷を並べていく。
俺は、彼女の向こう側に見えた、この部屋の中の唯一のピンクに惹かれていた。
目が離せない。
きっと、昨日撮った桜だ。
柔らかいけど、どこか切ない。
あの時の彼女の表情のような。
俺の肺はぐっと掴まれたように、苦しくなった。
それから、目の前の彼女を抱きしめてしまいたくなったが、それをもぐっと押し殺す。
もう少し、眺めていると、そこに一つの後ろ姿が見えたから。
それは、俺のものだった。
桜にカメラを向ける、俺だった。
その背中からは、暖かい色が滲み出ているように見える。
彼女の方を見た。
ぱちりと目が合う。
それから、彼女は優しく微笑んだ。
『私から、あなたはこんなに素敵に見えてるよ。』
って言われているみたいで、
｢ありがとう。｣
と言って、微笑む。
｢どういたしまして。｣
なんて、悪戯に彼女は笑ってから、
｢ご注文、お伺いします。｣
とメモとペンを取り出した。
思い出される、彼女のオレンジの丸い字と、可愛らしいメモ。
それから、彼女と初めて合った時が鮮明に頭に現れる。
そこで、はたりと気がついた。
彼女は、メモとペンを持ってたのに、自分の連絡先をわざわざスタッフルームで書いてきてくれたんだ。
それか、ちょっとはドキドキして、テンパってしまっていたのかも。
｢マサイさんは？｣
彼女の声に、はっと我に帰ると、5人分の視線が自分に注がれていて、
｢ホットコーヒー。｣
と言った。
｢以上でよろしいですか？｣
彼女の一言に、俺は微笑み、
｢それと…。｣
と言いかけると、
彼女も笑って、
｢連絡先ですか？｣
と言った。
2人だけの秘密。
なんだか、そんな感じがして、心地よかった。
第74話 気付く【Silk】→←第73話 自慢の いち【Masai side】
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wakame(プロフ) - ゆーかりさん» いやいやこちらこそ！ありがとうございます！続編できました！！是非、読んでくださいね！ (2017年7月17日 23時) (
レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
ゆーかり - ども！更新&返信ありがとうございます！！本当に読み返したくなるほど良い話なんですよ？笑 これからも、頑張ってください！応援してます！楽しみです！！^^ (2017年7月17日 7時) (レス) id: 778ae3def0 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - ゆーかりさん» そそそ…そんなに愛読して貰っちゃって…涙が(´；ω；｀)！本当にありがとうございます！嬉しいです！！毎日更新、頑張っていきます(●´ω`●) (2017年7月16日 21時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
ゆーかり - ども！私もこの小説にお世話になります(笑) 更新、頑張ってください！！更新されてないときも、一話から読み返しております！！この話が大好きです！ (2017年7月16日 11時) (レス) id: 778ae3def0 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - ゆーかりさん» コメント、そして感想、ありがとうございます！初めまして…だと思います！(笑)そう言って貰えて、涙が出そうなぐらい嬉しいです！！もっと楽しんでもらえるように、頑張っていきます！！これからもどうぞ、私の小説を、よろしくおねがいします(●´ω`●) (2017年7月15日 21時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
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