第60話 儚い桜【Masai side】 ページ18
俺は、彼女の震える肩を見ていられなくなって、
カメラを背中の方にもっていって、彼女を大きく包み込んだ。
情けない。
俺の瞳は熱を持って、視界が少し揺れているのが分かる。
彼女が欲しいのは同情ではないはずなのに。
彼女の過去の話を想像すると、今の俺には耐えられないような痛みが心を襲った。
こんな痛みと悲しみを、一人で背負っているのか。
なんて思ったら、自然と体が動いていた。
｢…話してくれて、ありがとう｣
彼女の震えが治まっていくのを感じながら、呟く。
腕の中で俺を見上げる瞳は、もう涙に濡れていた。
｢大丈夫、俺が居る。｣
そう言って、彼女の頭を撫でる。
彼女は目を丸くした。
彼女の全てを分かるとは言わない。
だけど、痛みと悲しみを、それから楽しさと喜びを、一緒に背負って分け合うことは出来る。
｢俺と分けよう。｣
彼女の瞳からはまた涙が溢れ出した。
俺は、指で彼女の頬を伝う涙を拭う。
｢ありがとう。本当にありがとう。｣
彼女は小さな声で言って、こちらに向かって微笑もうとしてくれる。
その時、俺は心の中で何かが吹っ切れるのを感じた。
俺は…Aさんと。
｢一緒に、歩いていきたい。｣
しっかりと、涙で洗われて綺麗になった彼女のチョコレート色の瞳を見つめる。
｢好き。｣
そう言い終わると当時に、春の柔らかな風が俺達を包んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
wakame(プロフ) - ゆーかりさん» いやいやこちらこそ！ありがとうございます！続編できました！！是非、読んでくださいね！ (2017年7月17日 23時) (
レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
ゆーかり - ども！更新&返信ありがとうございます！！本当に読み返したくなるほど良い話なんですよ？笑 これからも、頑張ってください！応援してます！楽しみです！！^^ (2017年7月17日 7時) (レス) id: 778ae3def0 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - ゆーかりさん» そそそ…そんなに愛読して貰っちゃって…涙が(´；ω；｀)！本当にありがとうございます！嬉しいです！！毎日更新、頑張っていきます(●´ω`●) (2017年7月16日 21時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
ゆーかり - ども！私もこの小説にお世話になります(笑) 更新、頑張ってください！！更新されてないときも、一話から読み返しております！！この話が大好きです！ (2017年7月16日 11時) (レス) id: 778ae3def0 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - ゆーかりさん» コメント、そして感想、ありがとうございます！初めまして…だと思います！(笑)そう言って貰えて、涙が出そうなぐらい嬉しいです！！もっと楽しんでもらえるように、頑張っていきます！！これからもどうぞ、私の小説を、よろしくおねがいします(●´ω`●) (2017年7月15日 21時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
