検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:22,763 hit

君が好きだから 11【Masai&Silk】 ページ12

☆君の姿
【Silk side】


俺は、ぐっと、抱きしめる手に力を込める。


彼女は、

俺のことを傷つけないようにして。


それから、きっと、マサイのこともーーー。


そして、

俺は、


ーーー俺達は、その優しさに、甘えて。溺れて。


彼女を、苦しめてる。


「今なら、言えること…無いか?」


小さく尋ねると、彼女の肩がビクリと揺れて。



こんなにも、愛おしいと思っているのに。



「もっと早く、気付いてやればよかった。」



彼女が、一度でも、マサイに奪われる前に。

俺が、こうやって寄り添ってやれば良かったのに。



俺の胸の中で、彼女は嗚咽を上げて、泣き始めた。

その涙の行く先は、

俺か、それとも、彼か。

そんなことは、この際どうでもいい。

ただ、愛おしい彼女を、そのままになんかして置けなかった。


「A。」


小さく呼んで、胸の中の彼女の顔をこちらに向けさせ、

深く、口付けた。

出来るなら、全てを拭い去ってしまいたい。

全てを、俺で上塗りしてしまいたい。

彼女の中の、他の男なんて、全て、消えてしまえばいい


なんて。


苦しいと、俺の胸を軽く叩く彼女の腕を、強く掴んで。

また深く深くへ進み、柔らかく舌を絡める。


息は、荒く。

頭に響く、ねっとりとした水音。

それから、俺の片足が乗って、ベッドを軋ませた。

そのまま、彼女をベッドに沈ませていく。

ゆっくりと、ゆっくりと。

彼女の背中が、シーツに皺を作ってから、

少し名残惜しく、唇を離した。


泣き腫らした目をした彼女が、

肩で必死に呼吸しながら、俺を見上げる。


俺の唇は震えて、

それを隠すように、噛んだ。


だけど、目の前が滲むのが、止まらない。


「ごめんな…、本当に、ごめんな…っ。」


ぽたりと、涙が落ちると、

そのあと少しクリアになった視界に、彼女が映る。


その顔は、とても悲しそうで。



俺の心は、痛むばかり。



どうにも出来ずに、

その華奢な体を抱きしめて、

胸に込み上げた熱をそのまま吐く。



「愛してる、愛してるっ…。」



だから、お願い。


どうか、こんな俺の妻で居てくれ。

君が好きだから 12【Masai&Silk】→←君が好きだから 10【Masai&Silk】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
93人がお気に入り
設定タグ:Fischer's , フィッシャーズ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

満葉 - HANAさん» 同感です。来いっ!って感じなんでかねww (2018年1月28日 22時) (レス) id: 0dfcacbbb4 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - 満葉さん» 襲われるって言うか、両手広げて待ちたい(真顔) (2018年1月27日 13時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
HANA(プロフ) - みぃさん» 囲まれたい……切実に囲まれたい。 (2018年1月27日 13時) (レス) id: 38cba622c1 (このIDを非表示/違反報告)
満葉 - 地球外生命体トリオ大好きです(笑)3人になら襲われて(?)もいいかも (2018年1月21日 0時) (レス) id: 0dfcacbbb4 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - HANAさん» 私だったらこの3人に囲まれて幸せですわ〜! (2018年1月13日 21時) (レス) id: 934c3d6f9c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:wakame x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年12月9日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。