検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:78,141 hit

☆君はヒーロー さん【Masai】 ページ7

すっと目を開くと、白い天井が目に入る。

背中の、ふわふわした感覚。


ベッドだ。


身体を起こすと、衝撃で少し頭が痛む。


あれ…、私、電車に乗って、会社に向かってて…?


はっと思い出される。

あの、男性の顔。


もしかして私…!


と、思ったところで、シャッとカーテンが開いて、その男性が立っていた。

ぱちりと、目が合う。


そしたら、彼は微笑んで、


「良かった。目、覚めたんすね。」


と言ってから、

コンビニの袋をベッドの隣の小さなテーブルの上に置いて、自分は椅子に腰掛けた。


私は、


「すみません。ご迷惑をお掛けしてしまって…。」


そう言って、頭を下げる。


彼は、いやいや。と言っているけれど、

思わず、ぐっと掛け布団の裾を握ってしまう。


私のせいで、絶対、彼、会社に遅れちゃったよね。


…って、今、何時!?


ばっと窓の外を見る。

そこには、淡いオレンジ色の夕焼けが広がっていて、

はぁ。とため息と一緒に、力が抜けた。


コンビニの袋に入った、コーラとおにぎり達を目にしてから、


もしかして、朝からずっとここに…?


私は再度、彼を見た。


彼は、会社行かなくって大丈夫なのかな。

いや、でも、私がそれを聞くのもなんか。

謝っても、もう、どうしようもないし…。


色々と考えていたら、


「熱、下がりました?」


おもむろに、私のおでこに、彼の手が当てられて、一瞬で頭が真っ白になった。

真剣な瞳が、近い。


え、あの。

待って待って待って…!


私が、何にも言えずに居るままに、

彼は、大丈夫そうっすね。と、ほっとした顔をする。


「あ…ありがとうございます。」


尻すぼみになる声。


私、顔、赤くなってないかな。

大丈夫かな。


「それから、ちゃんと、ご飯は食べなきゃダメですよ。」


彼は指を立てながら言って、


「は、はい。」


最近、しっかりと食べてなかったのは事実だったからか、自然と返事をしてしまう。


「それと、俺は、会社とかじゃないんで、そこは気にしなくっていいですよ。」


と笑いながら言って、


「俺が、来たくて、付いてきて、ここにいるだけっすから。」


なんて続けた。


「本当に、ありがとうございます。」


もう、それ以外に言葉が無い。



本当に、優しい人だ。

心が、あったかくなる。

☆君はヒーロー よん【Masai】→←☆君はヒーロー に【Masai】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (95 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
286人がお気に入り
設定タグ:フィッシャーズ , Fischer's , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

杏莉栖(プロフ) - シルクとモトキのリクエストをした「あみ」です!ありがとうございます!!とてもきゅんきゅんしました!!イケメンすぎてやばいです…( '-' ) (2018年5月17日 22時) (レス) id: d5291e4eb0 (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - Mionaさん» コメントありがとうございます! 楽しんでいただけたみたいでよかったです(ノ≧∀≦)ノ!! (2018年4月29日 2時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
Miona(プロフ) - もしかして僕かな?!リクエスト書いてくださり有難うございました!!とても良かったです(*´˘`*) (2018年4月20日 17時) (レス) id: db9cd35d9a (このIDを非表示/違反報告)
wakame(プロフ) - あにゃさん» 初コメ、ありがとうございます!! 最高でしたか!? そう言ってもらえてとても嬉しいです!! シルクをイケメンに描くの好きなんです笑 これからもどうぞ、読んでやって下さい!! (2018年4月19日 23時) (レス) id: 98da65900a (このIDを非表示/違反報告)
あにゃ(プロフ) - 初コメです!!もう…最高です…(涎)←シルクイケメン過ぎて堪りませーん\(^^)/ (2018年4月19日 9時) (レス) id: ef7b29524b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:wakame | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年1月27日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。