彼らとの毎日５日目 【短編集】【Fischer's】

☆さんかく に【Silk&Motoki】 ページ29

分かってるよ。

別に、独り占めする気はないさ。


独り占め、してみてぇけど。


そのモトキの微笑みを見て、

くっそ、とパソコンにまた視線を戻す。


そしたら彼女はさ、俺の方も気にして見てさ。

ぱっと目が合って、どうしたの？って瞳が言ってる。


そういう所がダメなんだって。

可愛すぎる。


ちょっと、困らせたくなって。

A、こっち来い。

そんな風に言おうと思ったのに、


｢ダメ。今は、俺を見てて。｣


モトキが、壊れ物を扱うみたいに優しく、彼女の視界を塞いだ。

その後に見た、モトキの挑戦的な目。


なんだよ。

渡さないとでも、言いたいか。

それとも、独り占め宣言か。


いいぜ。そっちがその気なら。


俺は、パソコンをわざと大きな音を立てて閉めて、立ち上がると2人に近づいていく。

そして、彼女の目の前にしゃがみ込んでから、


｢こっち見ろよ。｣


モトキの手を引き剥がした。

現れる、驚いた様子の瞳。


それから間髪入れずに、彼女の顎に手を添えて、その唇に思いっきり噛み付く。


少しの間味わってから、

ゆっくりと離れて、横目で不敵に笑ってみせた。


モトキの、不満げな顔が見える。

彼女の方を見れば、自分の唇に触れながら、動揺を隠せずにいて、


それが可愛い。

なんて、俺はきっと恋に狂っているに違いねぇ。


口の中に残る、彼女がさっきまで飲んでいたカフェラテの少しの苦味に、満足した。

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