彼らとの毎日５日目 【短編集】【Fischer's】

☆可愛い後輩 に【Motoki】 ページ15

苦笑するAさんは、俺よりも2つ年上で3回生。

サークルの3回生の先輩に聞いたところによると、鋼の女なんて呼ばれてるらしい。

なんでも、1回生の時に、

言い寄ってきた4回生の先輩の頬をひっぱたいたんだって。



｢もったいない。｣


わざと、聞こえるように、呟いた。

そしたら、真ん丸になった先輩の瞳。

キラキラしてて、綺麗。



そりゃあ、こんな女性が居たら、声掛けたくなったその4回生の先輩の気持ちも分かる。

ほっぺ痛かっただろうな。同情するよ。

まぁ、ごめんだけど、



Aさんは、俺が独り占めするから。



｢Aさん、綺麗なのに。｣


言うと、

わっと彼女の顔が真っ赤になって、

何か言おうと口を開いたり閉じたりしてから、

やっぱり何も言わずに、ただ早歩きになる。


｢待ってくださいよ！｣


なんて、その隣にまた駆け寄ると、

横顔は耳まで真っ赤で。


なんだよもう、

そんなの可愛すぎる。


自然と、頬が緩んでしまう。


すると彼女は、


｢モトキくんは、きっとモテるだろうな。お世辞が上手い。｣


ぼそっと言って苦笑してから、また、マフラーに顔を埋めた。

それから、


｢まぁ、可愛い子もたくさんいるし、供給源もばっちりだから、大丈夫だよ。すぐに、彼女出来るって。｣


と、早口に続ける。


あぁもう。そうじゃないのに。

そんなこと、聞きたいんじゃないのに。


｢あの…。｣


言いかけた時に、


｢あ、私、こっちだから。｣


と、笑顔。


じゃ。と手を振る華奢な肩が、隣から遠ざかりかける。


待って！


その手を、伸ばした。

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