【ワールドトリガー】アルバイトから、ボーダーに転職しました。 (ページ19)

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18 自分の髪ページ19

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｢....で、話しって?｣

夜ご飯を済ませた後に、みんなを寝かせた後、
坂本さんが、少し心配そうに自分に向かい合うように正座した。

『さ、坂本さん.....自分、ボーダー入隊しようと思って...』

声が震えたけど、聞こえていると思う。

｢...｣

だって。

『あ!!でも、入隊したら生活費の三分の一、補助してもらえる条件だからっ!! 』

｢...｣

だって。

『こ、これで今までより、バイト減るし...坂本さんもご飯食べられるし..』

｢か、勝手な事しないで!!｣

ペチッ。

だって、さっきから泣いてるから。

あぁ...。
これで二回目だな。坂本さんに泣きながら怒られるの...。

一回目は、十歳くらいの時に、自分の髪を売った時。

今から、約５年前＿＿＿＿＿＿＿＿。

『坂本さん、大丈夫？』

当時、十歳くらいの自分は、まだ仕事に就けない年齢。
生活保護は多少出るが、やっぱり坂本さん一人じゃ、無茶だったらしくて...

高熱を出した。

薬が欲しい。

でも、働けない。

お金が欲しい。

でも、自分には、何も出来ない。

当時、自分の他に美香と翔も居て坂本さんが働かないと、生活困難になる。

だから、髪を売った。

それだけ。

唯一、両親を感じられる髪を。

散歩してくるって、雨の中、傘もささずに飛び出した。

前から、目を付けられてきた、金持ちのおばさんに頼んだ。

『お願いします...』

って。ニタッと笑うおばさんが、怖かった。

でも、なぜか落ち着いていた。涙は出なかった。

走って、雨の中を。急いで家に帰って。

雨に濡れたまま、坂本さんの側に行って。

『坂本さん、これで薬を...』

｢何してるの！｣

坂本さんに怒られた。泣かれた。抱きしめてくれた。

なんでだろう。涙が止まらなかった。

｢髪を売ったの? 怖くなかった？｣

『..ぐっ..う...』

すっかり、短髪で男の子みたいになった。

『う゛..ごめんなさい...』

｢もっと、自分は、大切にしなさい。それと、ありがとう...｣

あの日みたいに泣いた。

『坂本さん、でも自分は..坂本さんも自身を大事にしてほしい。』

全く痛く無い、優しいビンタ。

その手は傷だらけで、痛々しい。
きっと、仕事のし過ぎ。

｢..ごめんね｣

『坂本さん、自分。ボーダー入隊します＿＿＿』