私の青春は99％の笑いと1％の恋愛でできている。

大根のフルコース ページ10

*


「喫茶店やからな。料理名はかっこよくないけど………



美味しそうやん♪」



望「どこがやねん！



イチョウ切りの大根に細く切られた大根が乗ってるだけやで！？



真っ白や！彩りもない！真っ白や！！」



白鉛筆がめっちゃ大根を睨んでたけど、



柊「望も白くなったらええねん」



とか意味不明なこと言って妖しげな笑みを浮かべてた。



幽霊みたいで怖かった。



店員「主菜と副菜とデザートになります」



一気に出てきた。何でもアリか(笑)



大根のステーキに、千切り大根と大根おろしが乗ってたり。



すりおろし大根スープに角切り大根が浮いてたり。



極めつけは、デザート(笑)



「………どれから食べるん」



望「デザートは唯一もったいなく感じるな」



大根をまるまる一本使ったデザートは、綺麗な二匹の白鳥の彫刻と化し、



その二匹の白鳥がくちばしを引っ付けてハートを作っている。



望「俺、恋愛マスターやからなぁ」



柊「この喫茶店は明らかに力を入れる方向を間違えてるわ」



紫「ぬれおかき足らへん〜」



西「この喫茶店でのみ販売してる仮面ライダーグッズ……」



廉「そんなもんあるんか」



メロンソーダを飲みながら、みんなの会話に耳を傾けていた。



男子って普段こんな会話してんのかー。



お母さんが子供を見るような目で眺めていると、



いきなりケータイが鳴った。



望「何、彼氏？」



いつの間にかフルコースを完食した大根が訊いてくる。



マジで共食いしよったぞ、こいつ。



「彼氏、みたいなもん」



私が言うと、その場にいた全員が固まる。



「ん？」



ズゴゴゴー……



無事メロンソーダを飲みきって、もう一度みんなを見る。



やっぱり固まってる。



ズゴッ、ズゴゴゴー…



廉「いやいや、もうないやん」



やっと鉄パイプが動き出した。



「まぁ、えーやん。じゃあ大根、ご馳走さまぁ」



固まったままの大根を放置して、他の５人と喫茶店から出た。



少しあとに、伝票を見て驚愕した大根の、断末魔の叫びが聞こえたのは気のせいにしとこう。


*

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