裏切られたけど転生トリップしました【d!】 (ページ10)

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︎ ︎眼鏡の奥では何を考えているのか分からない笑みを浮かべている、少々胡散臭い生徒と宜しくすることになった。控えめに言ってこの先が思いやられる。

「よろしく、えっと……」
「ぼく、チーノって言います」
「私はアーシェ」

︎ ︎こうして私とチーノは手を取りあい、お互いに利害の一致で同盟(？)が組まれた。口調が随分と違うのは、周りと溶け込みやすくするためである。

︎ ︎ちなむと意外と楽しい。国にいた時も諜報員やスパイとして潜入する時もあったが、結構嫌いじゃなかった。スパイに行っていたせいで裏切られたのだが、これはまた置いといて。

︎ ︎名前の書かれた席に座ると、目の前の水晶が光った。

【B】と表示された水晶は薄い水色に光り、その後【魔力評価 : ？？？】と評された。？？？とは何であろうか。しかし周りに教えてくれる人もいないので、早々に席を立った。

︎ ︎魔法についてはあまり詳しく分からないし、理事長は授業に困らない程度にしか教えていないらしい。しかし存外魔法は便利で、テレポートだったり浮遊だったり、幼少期焦がれていた事が出来るのは中々楽しい。
理事長が魔法で全自動料理をしていたのを目撃した時は是非ともいつか習得したいと思った。

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︎ ︎やがて式が始まり、校長の話が終わった後辺りがザワザワし始めた。

「次、もしかして生徒会長じゃないか？」
「まさか、あの噂の大魔法士の家系だって言う？」
「あらやだ、なんて貴重な体験なのかしら」

あの噂の、と言われてもこの世界について浅い知識しかない私には全く分からない。
出来ることならあのざわざわとした空気に混ざった方が馴染めるし混ざりたいのだが、そう上手いこと行かないのが人生だ。

「次に、生徒会長からのお話です」

司会がそう言うと、やはり辺りはざわつく。
情報収集は基本か、と隣にいた生徒に生徒会長とやらは有名な人間なのかきいてみた。

「えっ、君知らないのかい！？フューラー会長の家系は代々高貴な魔法使いで、御先祖にはあの伝説の黒魔術の生みの親であるヘレッカ様がいらっしゃるんだ」
「へえ、そうなんだ。すごいね」
「君変わってる子だね……この学園、フューラー会長目的の生徒が多いんだけど」

ヘレッカ、なんて初耳だが、これはきっと幼い頃から教えられる童話のようなものだと察知し、知らないのは不自然だろうから知っている風に言う。