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︎ ︎そう言いニコリと人好きのしそうな笑みを浮かべる生徒は私の顔を覗いてくる。
瓶底メガネのせいで目の奥がどんな顔をしているのか伺えないのが人と対話する上では中々痛い。
「さっき、自分で魔獣に壊されたって言ってたじゃない」
「嘘に決まってるやないですか！キミも分かってたでしょ？」
「あー、うん。分かってたね。うん、受験者の人形壊して回ってたのも私」
確信している状態から覆すのは洗脳くらいしないと難しい、そろそろ面倒なので認める。この生徒は恐らく自白しても怒らないだろうし。
「あー、やっぱそうなんやね」
「うん、ごめんね。多分君の人形も壊しちゃったかな」
そう言うと生徒は納得したように頷いた。やっぱり怒らない。もし怒鳴られたらどうしようか、と若干逃げの準備をしていたが杞憂に終わって安心した。
「なんで魔獣より人形壊すことにしたん？」
「え普通に暇だったからだけど」
それ以外の何ものでもない。
いや、若干驚いた顔見たさだったのもあるが、元々国では射撃犯にいた時もあり、その時が一番楽を感じていたため、的が比較的小さい人形を選んだというわけだ。
「へー、ふーん、暇だったから……暇……」
「え、どうしたの、え？」
急にあからさまに落ち込み始めた生徒。
スラリと伸びた背を折り曲げ後ろにはドヨンとした効果音がつきそうである。
先程のノリからは到底考えられない位の落ち込みようだが、何をそんなに落ち込むことがあるのだろう。
「はぁ……散々に煽られた原因が暇……」
「あ、私のせいで煽られた感じ？ごめんね？」
「いや、未熟な俺が悪いんや……」
まあ、彼にも色々あるのだろう。
「はぁ、しかもこんな華奢な女の子にやられたなんて知られたら……」
「知られたら？」
「絶対笑われるし、なんならやり返してこい、なんて言われる」
︎ ︎やり返しに来られるのは面倒くさいし、それに身内で行われるいざこざに巻き込まれたくは無い。そして瓶底眼鏡曰く、身内にそういうのを面白がる人間が居るらしく、知られたら確実に目をつけられる、との事。
「……それは困るなぁ」
「せやろ？だからお互い、この件はこれにて無かったことにしようや」
自分が撒いた種だが、彼もこう言っているのだから損することはない。
「賛成。私がやったってこと言わないでね」
「勿論っすよ！俺たち今から先輩怖い同盟や！」
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
