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魔法で作られた不思議な便箋を片手に学校へと向かう。
到着を知らせるベルが鳴ると便箋はふわりと消えた。
ここが魔法学園か、と首を上に傾けて見上げる。
学園の周りには無数の箒やカラスが浮いたり舞っている。
洋風な造りはどこか親近感を覚え胸が高鳴るのを感じ、少し心を浮つかせながら校舎に入っていった。
玄関先には《名前を貼られた席に座る》とだけ書かれた掛け紙があり、廊下には指定された部屋に続いているであろう矢印が浮かんでいた。
「新入生の方ですか？こちらのローブを着用して右にお進み下さい」
「ありがとうございます」
言われた通り赤のローブを着用し、重圧感のある扉を押し開けた。
「……あ！おい！お前、俺の人形を壊した奴だろ！？」
開けるなりなんなり、開放感のある禍々しいオーラを放つその部屋に怒号が響いた。
初日から目立つだなんて勇気のある人だなぁ、と声が聞こえた方を見る。
すると、パチリと目が合った。
「お前だよお前！！」
「………あ、わたし？」
「ああ、そうだよ」
指を指しながらこちらにズカズカ歩み寄る男。
入学出来たのだからいいのでは？と思うが、いまそれを言った所で怒りが収まる訳では無いだろう。
「人違い、じゃないかな。私ずっと小さい魔獣を倒してちまちまポイント稼いでたから……」
「あれ、そうか？でもお前の髪と同じ色だったんだけどな」
「その日は天気も良かったしこんな髪色になるのは光の反射的によくある事だから、きっと見間違いだよ」
「じゃあ悪かったな！」
すごく良い奴だった。人を疑う事を知らない純粋な人間だった。
「僕も人形壊されましたけど、人形壊す専用の魔獣もいたみたいですよ！」
「えっ！そうだったのか！じゃあほんとにお前じゃないな、悪い！」
再び謝りながら男はどこかへ去っていった。
誰かよく分からない、瓶底メガネをつけた男が人懐っこい笑みを浮かべて息を吐くように嘘をついた。即騙されるのを目撃してしまったのだが、自分も騙してしまった手前、この場合どういう行動が正解なのか誰か教えて欲しい。
「……嘘つきですねぇ」
「いや君が言う？」
「それはそう。僕ら嘘つきコンビですね」
「コンビ結成が早いよ。すぐ疎遠になるタイプだね」
初対面から距離が近い。パーソーナルスペースが狭いタイプか？
「はは、確かにぃ。
……それはそうとして、やっぱキミ、受験者達の人形壊してまわってた子やんな？」
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
