裏切られたけど転生トリップしました【d!】 (ページ7)

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立ち止まり後ろを振り向くと、橙色の人形が、地面に砕け散り破片となって地に伏していた。
破壊する際音も気配も何も無かった。ただ突然、人形が破壊された。

「クソ、一体誰が、」

何故だ、誰とも接触していないはずであるし、そもそも周りの奴らは皆自分の獲物を仕留めるのに必死だっただろう。
他人に構っている暇なんてないだろう。

急いで辺りを見渡すがそれらしい人影は見つからない。
明らかにおかしい、遠くから俺だけを狙ったのか。

ならばもう一つの人形も破壊されるか？
流石にそれは避けておきたい、配布された人形を全て失うとなるとどれだけポイントが高かろうと受かる確率はグンと下がってしまう。

焦燥によりすっかり立ち竦んでしまい、額に冷や汗を垂らしながら周りを何度も見渡す。

そして木と木の間にさえ怪しい人影が居ないのを確認すると、そういえば上を確認していなかった、と視線を上にずらした。

「……？」

人影こそははっきり視認することは出来なかったが、自分の人形がそこに浮いているのを見つけた。

俺の人形を破壊したやつが、そこにいる。
逆光で顔は見えないが、木の上のてっぺんから此方を見下ろしていることが分かった。
よく姿を捉えようと目を凝らすと、あることに気づき体が硬直した。

あの受験者、ショッピの人形も持ってる。

ショッピだけじゃなく何人もの他の色の人形を周りに浮かせている。
あれじゃどれがあいつの人形か分からない。カモフラージュのつもりだろうか。

晴天の中太陽に照らされて輝く長い髪を見て、その受験者は女なのだと気がついた。何個も人形を壊しているにしては、纏っている魔力が少ない気が…？
その事に気を取られていると生徒はどこかへ飛んで行ってしまった。

自分も取られた分を取り返そうと魔獣を探しに行った。

✧︎

「やっぱりボクの見込んだ通り！！途中舐めプしてたようにも見えたけど、余裕で合格だし目を瞑るよ！」
「魔獣狩りをせずにほかの受験者からポイントを奪う姑息な事なんてしてません」
「うん、目を瞑るって言ったよね。
まあとにかく合格おめでとう！早く金貨返してねー！」

試験日から数日後、合否を理事長が借りているマンションに伝えに来た。
順位は上位十位に入るらしく目を輝かせ、周りに花がとんでいそうなくらい上機嫌だった。

「じゃ、ボクはこれで！入学式で待ってるね～」
「どうも」

理事長は念押しするように返却を促してから颯爽と帰って行った。