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⠀コネシマが放った水魔法が地面に浸透して泥濘む。よそ見した隙に足がもつれ、足を掬われた。可笑しそうに笑う先輩達の声に腹が立ってしょうがない。
「……くそ」
「ショッピ、チーノと仲良く大人し〜く捕獲されよな。ほらチーノを見習え。大人しくしよな」
⠀ニコニコとしながら指を指した先には不意をつかれたチーノがいた。大先生が出した縄に腕を縛れ悔しそうに歯を食いしばりながら放送禁止用語をプンスカと怒りながら言っている。
「あれのどこが大人しいんすか？」
「俺は人の暖かみを忘れてしもうたんや」
「シッマいきなりぶっこんでくるやんどうした？」
「まあつまり、そういうことや」
(訳:俺が大人しいと思ったらそれは大人しいんや)
⠀つまりこういうことっすね。
⠀先輩が二人がかりで後輩を貶めて恥ずかしくないのだろうか。こんな魔法士にはなりたくない。
⠀自分で降参するのは癪だが、だからといってコネシマにトドメの一撃をさされるのは本当にムカつく。どうにか打開策を考えようと頭を回すがどこの地を踏んでも辺りは沼地の如く湿っている。こういう時だけ頭回るんなんなんやろ。
「さあさあショッピくん！今こそ先輩を敬う時ちゃうか！？」
⠀ニヤニヤと笑いながらにじり寄ってくる先輩に、己のプライドを捨てるか守るかの選択を迫られる。
「流石っすコネシマさん！尊敬しますわ！」
⠀即捨てた。
「ショッピ！！あの日誓った消えろコネ島への移住、忘れたんか！？」
⠀コロりと手の平を返した俺にチーノは信じられない、とでも言いたげな顔をした。
「そんなんあったっけ？」
「オイどういうことや？」
「や、僕の勘違いでしたね！」
「そうかそうか！」
⠀先輩チョロい。
⠀チーノと目を合わせてニヒニヒ笑っていると、近くで轟音がした。先程のロボロさんのものか、と聞かれれば、違うような気がする。それに、ロボロさんのものと思われる魔法は既にさっき遠くで撃たれていた。
「ちょ〜っ、しっ！静かにっ、なんかおるわ」
⠀木々の隙間から、何かおぞましいものが姿を現した。
「なんやこいつキッショ！」
⠀コネシマの暴言に、ソレは鋭い眼光をこちらに向けた。
咄嗟にチーノの縄を解き、階級も何も分からない以上離れることにした。
地獄の鬼ごっこのスタートである。
「お前まじ黙れよ！！気づかれてもうたやん！アホなん！？」
「やってもうたわ」
⠀半ギレの大先生にコネシマは悪い、と走りながら手を合わせた。
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
