序章 Oneepisode ＿入学 ページ5
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side purple
︎ ︎ ︎ ︎咲き誇る桜が散り舞うのを横目に試験会場へと向かう。
肩に桜が落ちてくるが、振り払うのが面倒になって隣の友人に笑われたのはつい先程の話だ。
「ショッピ」
「なんや」
ずっと笑っていた友人が隣から声をかけてきた。
急に神妙な声のトーンになり、何を言われるのだろうかと若干身構える。
「俺ら合格できると思う？せっかく推薦貰ったのに落ちるとかどないしよう」
「……今まで頑張ってきたんやしいけるって」
明るく気丈に振る舞う友人だが、意外と慎重かつ繊細なのがこいつのギャップというやつなのかもしれない。
悪ノリで調子に乗ることは多々あるが、しかしそれは親しき仲なだけであって、そう考えれば憎たらしい所も可愛らしく見えてくる。
「てかもう一人推薦増えたらしいで」
「へー、誰情報？」
「グルさん」
「確定やんそれ。てか推薦やったら筆記パスできるけど実技受けなあかんしちょいめんどい」
「俺筆記の方が自信あるわ」
「ショッピ頭良いしなぁ」
悪い笑みを浮かべるグルッぺんを思い出し、あれは敵に回したくない、と考える。
それにしても、今年は推薦枠が増えたのだとか。
近年魔力の強い子供が増えているというのはよく聞くが、それと何か関係があるのだとすれば、その内パワーバランスが偏ってしまうのではないだろうか。恐らくその偏りを無くすために魔法学園が設けられているのだろうけど。
そのため今年が有り得ないくらい平均が高い可能性も無くはない。
数人いる内の一人の推薦者は理事長直々、つまりかなりの実力者である事が伺える。
もしゾムさんのような好戦的な試験者であれば中々骨が折れる。
そうなれば先程チーノが言っていたように実技で叩き落とされることも無きにしも非ずと言った所だろう。
「今更緊張してきたわ」
「おいお前もかよショッピぃ」
二人で背中を叩き合い、試験会場に入った。
✧︎
理事長に魔法について教えてもらい、あっという間に試験当日になった。
「ご指導いただきありがとうございました。成果を上げられるよう精進致します」
「キミ誰？」
「人通りのある場所で理事長に軽口なんて叩いたらそれこそ入学なんて出来ないでしょう」
「なんだか心の距離が出来たみたいで寂しいよボクは」
「大丈夫ですよ、心の距離なんて元々縮まるほどありませんし」
なんて冷たい子……と涙を流す理事長は放っておき、足早に試験会場に向かった。
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
