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「本来の決闘はコロッセオでやるが、今日は擬似の森でやってもらう。ルールは簡単。相手を戦闘不能にしたら勝ちだ。魔法も武器もオールオッケー。しかし殺すのはご法度だ、分かったな」
⠀じゃ、スタート。と気の抜けた合図と共に生徒らは森に放たれた。
周りの生徒が走っている中、ロボロと私はそれを眺めながら歩く。するとロボロが声をかけてきた。
「きみ、随分とアイツらと仲ええみたいやなぁ」
「そうですかね。縁があって偶然仲が良いだけですよ」
「偶然、ね。……なんかした？」
「するわけありません」
そんなことするメリットがどこにもない。
「メリットならあるやん」
心の中を読んだかのようにロボロが言った。立ち止まり、鋭い瞳に射抜かれる。
「友達が増える？」
ぱっと思いついたメリットを声に出していくが、違うとあえなく切られた。
「じゃあ何？」
「富と名声」
「あの、先輩は私が友達をカツアゲしてるとでも思ってるんですか？流石にそんなことは……」
「ちゃう。アンタが仲良うしてんのは生徒会ばっかやねん」
「それがどうして富と名声に結びつくんですか？」
⠀突然投げられた意味不明の豪速球。そもそもチーノはまだ生徒会ではないのだと聞いたのだが。本当によく分からない。それだけ仲良くなるのは難しい人達、ということなのだろうか。
⠀ロボロは間を置いて軽蔑するような目でこちらを見た。
「アンタ生徒会入ろうとしてるんちゃうん」
⠀それこそデメリットでしかないと思うのだが。
富はともかく、名声を手に入れたところで鬱陶しいだけだろう。
「いや、それは面倒くさそうだしいいです」
「は？じゃあなんで」
「なんで……？友達なるのに理由いるんですか？」
「いらん、いらんけど……」
⠀どうしても、信じられん……！彼の纏う魔力の色が濃くなった。
⠀ロボロは私の足元に魔法陣を起動する。魔力量からとてつもない技が打たれる予感がした。
「チーノなんか人一倍他人と壁つくっとるはずやねん」
予備動作も長い、ためも大きい。
間違いなく、大技。
「あのな。仲がええのは良い事やと思うよ。でもあいつらになんかしたら」
⠀辺りにいた鳥が鳴きながらどこかへ羽ばたいた。
動物の防衛本能を突き動かすほどの殺気が一体を取り囲む。
「俺お前に何するか分からんで」
この人−−−私を殺す気か。
「死ねや」
⠀手の打ちようもなく、視界が真っ白に染まった。
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
