▼ 幕間 ページ38
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「−−このくらいじゃ死なないかぁ。残念！」
⠀新築の如く綺麗になった廊下で、上がり始めた日を見ながら男が言った。
「あの子の魔力、欲しかったんだけどな」
「あんさん趣味悪いで。あんな魔力どこにでもおるわ」
⠀面布をした青年が朝日に照らされ、向かいから歩いてくる。吐き捨てた言葉はどこか冷めており内には軽蔑が織り込まれていた。
「今は、ね。だって、あんなに魅力的な魔力が常々現れていたら魔獣の格好の餌だろ？」
「隠しとるってこと？」
「ああ。ボクが一番始めに見つけたんだ、あれはボクのだよ」
「ほーん、横暴ー」
⠀興味が無さそうに言う青年。内心では、一度見てみたいとも思うが、それを男は睨んで制する。
「……手、出さないでね？」
「知ってますー。てか、俺がださんでも他の奴らに出されるとちゃうん？」
「それはしょうがないさ、彼女は運が良いからね」
⠀ふふ、と微笑みながら男はそれに、と続ける。
「ボクは、彼女が拒むのであれば即座に手を引くさ」
⠀冷たい早朝の風が鮮やかな髪を撫で回す。青年は嘘つけ、と腕を組みながら冷たい視線を送る。
「そんな熱い視線を向けないでくれよ。これは本当、殺す気はあるけれど、バレたらもうそれまでさ」
「殺す気あるんやん。これやから信用出来ひん」
⠀男は朝日のその向こう、ずっと先を見ながら目を細めた。
「古い友人と約束してしまったんだ」
「……アンタ一体いくつなん？」
「二十八」
「見た目の話ちゃうねん、中身の話や」
「さぁ、何歳だろうね。もう随分と数えていないよ」
⠀−−−−僕の妹を、楽にしてやって。
⠀その言葉が、呪いのように男の頭に反響した。
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side pink
阿呆な事をした。自覚はある。
あっちの世界に行って、魂が黒く染まるのを、自分は黙ってみていた。
「イイなぁ、楽しそうで」
鏡の向こうで笑う友達がどうしても憎く見えた。
出ようと思っても出られないもどかしさに腹が立った。
「キミのそれは霊界も想定外さ。だからボクの言う通りにすれば生き返れる」
やからゾムを、鏡に閉じ込めた。
俺は完全に死んでた訳やないから数時間で事足りると言われた。それでも矢張り手は震えた。
アイツらが来んのは想定外やった。だってアイツらが来なくても俺は三時になればゾムを外に出すつもりだったから。
「悪いなぁ、ゾム」
そんな俺を、ゾムは許してくれるのだろうか。
第二章 Three episode ＿上級たる所以→← 𐰷＿＿真相
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
