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︎ ︎月明かりに照らされた廊下を、なるべく音をたてずに歩く。
「暗さにも目が慣れてきたね」
「こんだけ暗けりゃね」
しばらく歩いていると、暗闇の中の、小さな落書きも見えるくらいになってきた。
廊下から見える月を見て、今日は満月だったのか、と気づいた。
「この馬鹿広い校舎でもう一度鉢合わせすることはないやろ」
「だね。……向こうが見つけに来ない限りは」
すると、近くに強い魔力の反応を感じた。
「まずいっすね。………来てる」
「随分と早いフラグ回収だね！」
「そんなこと言ってる場合すか」
鳴り響く轟音。
上から天井を突き破り、何かが着地した。
目の前に細かい破片が散りばり、砂埃がたつ。
「なぁ、なんで逃げるん？」
ゆらりと立ち上がった、歪んだペリベットの中からは狂気がこちらを覗いていた。
「俺と遊ぼうや」
そう言って笑う生徒は、簡潔に言えば正気では無い。
＿＿
「ハハッ！！すばしっこいなぁ！」
「死ぬ死ぬ死ぬ、まじでこの人誰なの！？？」
「ゾムさん！しっかりしてくださいよ！コネシマさんへの恨み忘れたんすか！？」
「息をするように仲間を売るショッピ流石！このまま先輩の方に行ってくれ！」
全力疾走で右往左往逃げ続け、合流なんて夢のまた夢と化した。
後ろの奴がどんどん破壊していくせいで逃げ場がどんどん減っていくのだ。痺れを切らしたショッピはついに先輩を売り始めた。
「シッマさっきどっか行ってもうてんなぁー。遊び相手おらん俺、可哀想やろ？」
「全く」
うっかり心の本音が漏れた私に、ゾムはふーん？と品定めするような目で私を見る。後ろから視線が突き刺さり痛い。その場所に穴があきそうだ。
やっと視線がズレた、と思えば真横スレスレで何かが通った。視線の先にはナイフが突き刺さっている。ここ、魔法学校なんだよな？
「ゾムさん構ってちゃんやから言葉気をつけた方がええで」
「これ構ってちゃんの限度越えてない？？」
「もっと反撃してこいや」
「そんな隙つくってないんはゾムさんなんすけど」
「ショッピ生意気なったな、殺すぞ」
「あびゃー！！」
「駄目だこの人正気の沙汰じゃない！！」
ショッピの足元にマグマが流れる。えげつないことをするなこの人。
「あの人随分と戦いたいみたい」
「ゾムさんとは極力戦いたないんやけど……」
目の前に立ち塞がる壁を見て、行き止まりを悟った私達は覚悟を決めるのだった。
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
