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「すっかりはぐれてもうた……」
「一体何が起こってたんだろうね。友達じゃないの？コネシマ先輩と、そのゾムって人は」
「仲良いはずなんすけど。でもゾムさんは結構リア狂なところがあるんでなんとも言えないですね」
しばらく走った後、空き教室に入り息を整える。
やはり先輩とゾムという生徒は仲がいいようで、内ゲバという名の喧嘩も日常茶飯事らしい。
︎ ︎しかしショッピくん曰く不可解なのは、いつもやり返しているはずのコネシマ先輩が一方的に逃げている所だそうだ。
「ああやって笑ってましたけど、顔は結構焦ってましたし、ゾムさんが今普通の状況じゃないのは確かっぽいっすね」
「私も同意見。ゾムさん、って人を見つけたらすぐ逃げた方が良さそう。とにかく今は鏡まで行ってみようか」
「え、行くんすか」
「当たり前じゃん、合流出来るかもしれないしね。さ、行こうショッピくん」
ずっと散ったままでは危ないだろう、と扉を開けて廊下に出ようとすると、ショッピくんが呼び止める。
「別に呼び捨てでいいですよ」
「ほんと？じゃあ次からはショッピって呼ぼうかな」
「はい、そっちの方が呼びやすいでしょ」
「うん。分かっちゃった？」
「何となく。君付け慣れてないんかなって」
バレている。
戦線では番号呼び又は呼び捨てが当たり前だったため仕方が無いだろうが、あまり関わりのない人物に見破られてしまったのは元軍人として一生の不覚。
「ショッピは人の事よく見てるんだね」
「そうすか？アーシェさんだって」
「アーシェでいいよ」
「アーシェやって、結構普段から周り見渡しとるやろ。たまに傍観者みたいに見えるわ」
「そんなつもりはないんだけどね。癖かな」
「変な癖っすね」
周りを見てさり気ない気遣いが出来る人間なのだろう、さっきこの教室に入ってくる時だってショッピが空けて通してくれた。優男。
「……こっち大丈夫そうです」
「うん、こっちも。多分反対方向に行ったのかな」
廊下に出て、魔法で照らしてそれらしい影がないかを隠密行動で確認する。
「それにしても、何されたらあんなに逃げるんでしょうね」
「普段の性格じゃ考えられない事を言われたとか？」
「有り得へんことはないなぁ」
あんなに全力疾走で友人から逃げるなんてよっぽどの事がないと道理が行かない。そして先輩は”嫌われとったわー！”
なんて言っていた。
敵意むき出しにでもされたのか？
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
