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月夜に照らされた薄暗の中に、ほのかに光が灯る。
昼間とは全く違う、静寂の廊下に声が反響した。
「やっぱ魔法で照らしても暗いもんは暗いなぁ」
「そんな常時魔法使っとったら魔力ヤバくないですか？」
「あ、ほんまやぁ。ありがとショッピ」
ショッピはコネシマ先輩に声をかけたつもりだったのだろうが、横にいたチーノも魔法を解除した。
先輩はあまり関わる機会があれ以来なかったため分からないが、普段の行動からチーノはぬけているところがあると思う。それも好かれる良さなのだろうが、たまに詐欺師のような顔をするので、やはり意図的なのだろうか。
視線をチーノにやると、えへへ、と目尻を下げて笑っている。これは演技には見えず胡散臭さも感じなかった。
「なんか先が思いやられるね」
「アーシェが言うと重みがちゃうねん……」
話し合った結果交代で照らそう、という事になりまずはコネシマ先輩を先頭に歩く。
「じゃ、まずは鏡見に行こか！！」
「ゴーゴー！」
「わーい行きましょー！」
「お化けでるかな。物理判定ってあると思う？」
「俺はないと思うで！」
「そこ気になる？」
真夜中の静けさとは正反対にはしゃぐ。
まるで遠足に行くかのような無邪気さを顕現させながら目的地に向かう。
それまでにも、調合室にある人体模型を見に行ったり、音楽室にかけられている偉人の絵画を見に行ったり、と探検した。
たまに喋る絵画が目を覚ましてグチグチと怒られたが、きちんと交渉をして口封じは済んだ。ショッピくんとチーノのコンビは有能である。
「あら！貴方たち、こんな時間に何をしているの？」
「肝試ししてるんすよ！マダムも一緒にどうですか？」
「嬉しいこと言ってくれるのね。でもご生憎、ここからは動けないのよ」
美術室に飾ってある美しい絵画は、悲しそうな顔をしながら笑った。
「それは残念」
「流石熟女好き、出会い頭にナンパか」
「年上好きなの気持ち分かるよ」
「アーシェ年上がタイプやったんかぁ、なんか納得やわ」
「先輩の中で私の印象どんな感じになってるんですか」
チーノに共感すると、コネシマ先輩はものすごく腑に落ちた顔をして勢いよく縦に首を振った。そこまで納得させる普段の私はどう写っているのか普通に気になった。
「冷静」
「あー分かりますわ」
「あと生意気」
「肝座っとる感じするねんな。お前血流れとるか？」
「出会って少しの間柄でそこまで言える君たちすごいと思うよ」
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
