▼ ページ18
✧︎
「気づいてくれてありがとうな！ホンマに解除方法分からんくて詰んでてん」
「自業自得ですよ。この前薬学の授業で鮭と組み合わせたら呪われる薬を完成させてしまう薬を飲んだのにも関わらず食べたんですから」
「いやぁ、欲には勝てんな！まあまあ終わり良ければ全て良しやわ！」
︎ ︎豪快に笑う姿は先程の氷のような態度とは似ても似つかないものだった。今まで妬みで冷たくされていたのには慣れていたのだが理由もなく冷遇されるのはあまり経験がなく困惑したので魔法の影響で良かった、と安心する。
もし魔法だと気づいていなかったら、私はこの生徒を殴っていただろう。
良かったな、という意味も込め生徒を見つめる。生徒は其れを自己紹介の催促だと思ったのか、胸高らかに紹介を始める。
「俺はコネシマ！二年Ｂクラス！よろしく頼んますわ」
「アーシェと言います。一年Ｂクラスです」
まさかの同じクラス、という事に驚いたが、この人は先輩という事に驚いた。学年を示すネクタイは現在外されており判別する事が出来なかったのだ。
コネシマ先輩はニコニコと、爛々としながらエーミール先輩をいじっている。最早先輩は涙目でいじけている。
「ちょ、先輩……そろそろ可哀想ですよ」
「なんやなんや、エミさんにも春が来たんか！？」
「いい加減にしてくださいぃ、コネシマさぁん！」
私が止めに入ると更に大笑いしながら、良かったなエーミールゥ！！などと拍車がかかったようにいじりはじめた。
すまないエーミール先輩、止めることは出来なかったようだ。
「では、私はこれで」
「ちょちょ、見捨てんといてぇアーシェさぁん！！」
「もっとお話しようやエーミール！」
「ああー！！いややぁ！！あ、アーシェさん是非図書委員入ってくださいね！」
「そんなん口説き文句にしては足りんでエミさん！」
「ちゃうわ！！もういややぁ！」
グッドラック、と親指をたてながら図書室の扉を静かに閉めた。
◢◣
side brown
「この本、お借りしてもいいですか」
可憐で睡蓮が咲き誇っているような麗しい容姿とは裏腹に、その女生徒が借りたいと言い持ってきたのは禍々しい雰囲気の放った、戦争が大好きな知人が酷く勧めてくる内容がリアルな書物だった。
「……これは貴方がお読みに？」
「そうです。少し興味があって」
「そうなんですね。内容が凄惨なのでお気をつけて」
「読まれたんですか、この本」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
