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紺色の髪をした、縁の大きい眼鏡をかけた生徒がふらりと声をかけた。
「げ、とはなんやげとは！この俺に失礼やと思わんのか、もっと敬えよ！」
「女たらしに敬う要素ないやないですか！」
「おいお前ええんか、この可愛いお嬢さんの前で過去の失態暴露したるぞ」
「もー、兄さんったら嘘が上手やなぁ！敬ってるに決まってるじゃないですか！」
脅された途端スっと態度を変えニコニコするチーノ。心做しか頬に花丸が浮かんでいるような気がする。お調子者なんだな、こいつ。
「アーシェ、こいつとはあんま関わらん方がええで。クズやからな」
「そうなの？」
私の耳に顔を近づけこそり、とチーノは囁いた。あと、と続けられた言葉に吹きそうになる。眼鏡の生徒は聞こえてんで、とチーノを睨みながら言う。
笑いを堪えていると、眼鏡の生徒は私に向かって微笑みながら手をとった。
「綺麗なお嬢さん、僕とお茶でもどうですか」
「近っ。顔デカ。遠慮しておきます」
「チーノお前なんか言ったな？」
「ぶっ、ざまぁ！！」
「振られてて草」
「おいゴラァショッピどこから湧いてん」
突如ナンパ紛いをされ、こういうたらしと関わるとろくな事がないと知っていたのですぐに断る。すると、チーノの隣から舌足らずの声が聞こえてきた。
「移動で通りかかったらなんか面白そうな事なってたんで」
「ショッピ、大先生滑稽やなぁ！即答されとったで！」
「くそ覚えとけよおめぇら……！」
大先生、と呼ばれた生徒は悔しそうな顔をして、尚私の顔を見ながら距離を近づけ、一度だけでいいんです……と乞うように手を胸の前で組んだ。タフネス。
「名前も知らない方とお茶するのはちょっと怖いです」
「僕は鬱。鬱くんって呼んでね！これで僕達知り合いよな、よろしく！」
「よろしく鬱くん。でもあんまり関わりたくないかな」
「言い方は暖かいけど言葉はちゅめたい……」
ネクタイの色から先輩であることは分かるのだが、先輩と言う感じがしない人だ、というのが第一印象だった。
なんというか、舐められやすそうな。
「今失礼なこと考えた？」
「ハハ、ソンナワケ」
「何この子、隠すの下手なん？」
︎ ︎くたびれたワイシャツには一部赤くなっているところがありそれは口紅のように見えたため、鬱くんは遊び人なんだろう、と納得し益々距離を近づけ過ぎないようにしよう、と決めるのだった。
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
