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︎ ︎突然名指しで呼ばれ、僅かに肩を動かした。
クラス中の視線が一点に集まり、あらゆる方向から痛い視線が突き刺さる。
「え、なんで私？」
「何かしたの？アーシェ」
「全く心当たりがないんだけど」
こそり、とニナと話す。どこからか聞こえてくる声はクスリと笑い、また話し始めた。
「私は今透明になっていますね。これは薬草の組み合わせによって姿を変えることが出来るものです」
どこかで風が吹き、飾られている植物の葉が靡いた。
「さて、透明になるには、どの薬草を組み合わせれば良いでしょうか？」
最早語尾に疑問符が付いていない。
私が答えられること前提で話を進められていることに少々圧を感じたが、場の流れを止める訳にはいかないので、理事長に教わった通りの組み合わせを答えた。
すると教師は何処からか姿を現し、拍手をしながら再び声を上げる。
「素晴らしいわ！ヴィッテさん！」
皆さん拍手を、と教師はふくよかな手を上げ催促する。
恥ずかしいからやめてほしい。
「……初回から勘弁してよぉ」
「でもすごいわアーシェ」
「頭いいのね」
穏やかな表情をしながら褒めてくれるニナと関心したように目を瞬かせるアンナ。
「流石推薦入学者。皆さんも合格したからと言って怠けてはいけませんよ。では、教科書を開いて＿＿」
__
「アーシェ、次ってなんの授業やっけ」
「確か闇魔法についての座学じゃなかったかな」
「教室移動よな？一緒に行こ」
「いいよ」
学校での生活にも慣れてきた数週間、チーノとレンガ造りのような廊下を歩いていると、張り出されているポスターが視界に入った。
「”魔術研究会”……？」
「え”、ホンマにやっとる……」
声にそのまま出して読むと、隣にいたチーノは芋虫を齧ったような、苦い声をだして立ち止まった。
「チーノ知ってるの？」
「知ってるも何も、この会開いてんの知り合いやねん」
会を開けるくらいだからよっぽど好きなのだろう。私も少し面白そうだし、入会も視野に入れてみようか。いや、面倒くさそうであったら即座に消去するが。
「へぇ、面白い人だね。興味あるよ魔術」
「いーや、入るんはやめといた方がいいで」
チーノ曰く、この会は最早知り合い達の溜まり場のようになっているらしく、真面目に研究しているのは一部だそうだ。
「ふぅん。じゃあ図書委員にでもなろうか」
「ええやん図書委員、俺もそれにしよかな」
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
