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︎ ︎目が覚めると見える景色が違った。
これは比喩でも、視点が変わった訳でも何でもなく、本当に、建物も季節も全く違ったのだ。
「
しかし手に縛られた形跡もなく、体制は寝落ちする前とまるで変わっていないため、攫われた線は薄い。
ならばこのおかしな現状は一体何が原因で引き起こっているのか。
︎ ︎ ︎よく周りを見渡して見るが、近未来的に箒が浮いて揺らめいており未来に来てしまったかのような風景に戸惑う。
ほとんどは洋風な、馴染みのある住宅が並んでいるのだが、如何せん雰囲気が違いすぎる。あの殺伐とした、油断すれば何処からか盗賊が飛んできそうな気配が全くない。
そして考えた後、触覚的に何処か違和感を覚えた。
「……
体を撫でる柔らかな風は暖かく、針で刺すような痛みは襲って来なかった。
︎ ︎ ︎一体何が起きているのだ。
恐らく眠る前はクリスマスイヴで、今日はクリスマスのはずだ。
しかしここまで暖かいクリスマスを自分は知らないし知りたくない。クリスマスは寒さがあってこそであろう。
冬では無いことは確定しているのだが、この暖かさは夏とも言い難い。
︎そもそも、ここまで中途半端な気温に出会ったことがあまり記憶にない。日本は春夏秋冬がはっきりあるらしいが、母国では冬と夏が主流で秋と春はあまりない。
そのため、ここは元いた国では無いことはわかった。
それが分かった所でこの危機から脱せる訳でもない。
頭を使うだけ無駄だろうか、と匙を投げる姿勢に入った時、人通りの少ない路地から誰かが歩いてくるのを察知した。
近くの物陰に隠れようと体を起こすも足が固まったように動かないことに気がついた。
非常にまずい事になった。
まさか追手が来てしまったのだろうか。胸が早鐘を打つ。
手がぬるり、と視線の傍に迫った。
「キミ、素晴らしい魔力を持っているね！」
「
いきなり肩を捕まれ取り繕う間も無く顔が歪んだ。
なんだこの男は。口の動きから見て英国の言語ではないのはわかるのだが、自分はアジア言語は中国語しか話せない。
「おや、言語が違うのか。翻訳魔法かけてあげるよ！」
男がステッキのような長細いものを振りかざすと、頭になにかが入り込んできた気がした。
「……一体何を？」
「魔法さ」
「いい年してそういう趣味か」
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作者名：w579hgtvbj | 作成日時：2023年12月24日 11時
