愛壱 ページ1
「どうか!神様!!
我が子が
身体が丈夫で、家族思いで、優しい子で、えっと、それからそれから…」
「願いすぎだよ、Aさん」
黄昏時に、ある夫婦が神社でこれから生まれてくる我が子に対しての願いを神様にお願いしよと参拝に来ていた。
「だって、仕様がないじゃないですか」
「それりゃあ、俺だって、元気に丈夫に育ってくれたらいい。それだけでいいんだ。
それ以上願ったら、子供が窮屈でかわいそうだ。神様だって困る。
この子が優しい子になるのは俺たち次第だよ」
夫の良治さんは私の少し膨らんだ腹を優しく撫でながら言った。
「そうですね…自分勝手でした」
「それにだ。
しっかり者なのにどこか抜けている君だ。
君の運が全部なくなってしまったら、君が不幸になりそうで俺は心配だ。」
「!…私は貴方と子が側にいれば不幸だと思いません。抜けているのは分かっています。
いつも迷惑をかけてしまって申し訳ありません」
私は頭を夫に向け深くさげる。
「あぁ!怒っている訳ではないんだよ。
頭を上げて、腹の中の子までも君を心配するよ。」
「はい…」
私達は神様への願い事を終え、帰路につこうと後ろを振り向いた。
神社の社殿の前に置かれる一対の犬に似た獣の像を私はふとみて、足を止めた。
唐突にあることを思いついた。
「狛犬様は神様を守るほどお強いのよね」
「ん?ああ」
「生まれてくる子が
男の子だったら
狛犬の狛と貴方の名の良治の治めるからとって【狛治】はどうかしら?
女の子だったらこの簪の花の名のがいいわ」
「あぁ、いい名だ」
「ふふ、早く生まれてきてくれないかしら」
生まれてきた子は男の子で生まれながらに歯が生えていた。
周りからは、鬼子と呼ばれたが、
私は元気に生まれてきてくれて本当に嬉しかった。
狛治はすくすくと元気に、大きな病に悩まされることもなく育ってくれた。
私は神様が私達の願い
を叶えてくれたと思い喜んだ。
ある夜、風が強く吹き、月が雲に見え隠れしていた。
この頃狛治は言葉を大分話せるようになっていた。
「母」
「どうしたの?」
「この歌は…?」
「子守唄よ。
あなたが悪夢にうなされないように歌っているの。
風が強いけど、安心して。
おやすみなさい、私の愛子」
狛治はゆっくりと目を瞑りしばらくすると寝息をたて、ぐっすりと寝た。
ああ、この幸せがずっと続けば…
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まっひー - いえいえ!役に立てて良かったです! (2022年1月1日 21時) (レス) @page4 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
w.s.(プロフ) - まっひーさん» わあ、全然気づいていませんでした!ご指摘ありがとうございます! (2022年1月1日 21時) (レス) id: 07cb00f83d (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - 初コメ失礼します!「小雪」ではなく「恋雪」です。細かくて申し訳ございません!あと、愛肆の良治さんのセリフで「君は神様に気に入られているだ。」になってます! (2022年1月1日 20時) (レス) @page4 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホワイトサファイア | 作成日時:2021年7月20日 21時