血は欲しくないみたい。infinite (ページ3)

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血を飲まない男ページ3

ギュ「だからこれも、ただの飾り」

ソンギュはイーと口を開けて尖った下の牙を見せてくれた。

「初めて見た…」

ギュ「俺の下に生えてて普段は見えないでしょ？これ珍しいんだよ」

「うん」

ギュ「でも血を吸うとき下の牙で吸うと、吸われる方はすごく痛いんだって」

「そうなの？」

ギュ「俺は使う予定ないから大丈夫だよ」

ソンギュはニコッと笑って私の頬を撫でた。

「いいよ。」

ギュ「え？」

「ソンギュにならあげてもいい」

ギュ「だから俺は…」

「血を吸っちゃうのが怖くて私とできない訳じゃないの？」

ギュ「はぁ…まだそんなこと」

「私がヴァンパイアじゃないから？」

ギュ「そうだよ」

あまりに真っ直ぐな答えが返ってきて
悲しくなった。

ギュ「危険過ぎるんだ。今まで俺は1度もAのこと力いっぱい抱きしめたことない」

「どういうこと…」

ギュ「力加減がよくわからない」

「だから手、繋いでくれないの？」

ギュ「うん…。たぶんAの手、粉々になる」

それを言われて少しだけ怖いって思ってしまった。

ギュ「俺のこと怖いって思ったよね…」

ソンギュはそっと立ち上がって
ドアノブに手をかけた。

「待って」

私はソンギュの背中に抱きついた。

ギュ「また明日。」

「やだ」

ギュ「A、離して」

「嫌。今離したらソンギュ…もう来てくれないような気がするの」

ギュ「お願い。また来るから…」

ソンギュが握っていたドアノブが砕けた。

ギュ「ごめん。これ、弁償するから」

それだけ言ってソンギュはその冷たい手で私を振り払って出て行った。

次の日、ソンギュが会いに来ることはなかった。