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広島県立呪術高等専門学校──保健室にて、



「へー、辞めるんだ。お疲れー、まぁ呪術界とかいても意味ねーし賢明な判断だと思うぜー、俺様」

「はい、まぁ3ヶ月間のカウンセリングのお礼くらいは言おうと思いまして」



そう言って、とある補助監督は多分頭を下げた。


多分、と言っているのは見ていないから。何故なら俺は一人でやっている桃鉄99年でNPCと貧乏神のなすり付け合いで忙しいからだ。


背後で溜め息が聞こえる。

呆れたような、慣れたような、けれどいつも通りのような。



「自分でもそう呼んでますし、何度も言ってますけど、カウンセリングを騙るの、やめてくれませんかね。天使ヶ原さんのコレ、そんな立派でも真面目でもないんですから」

「うるせー、俺様に文句言うなばーか。悩み聞いてやってるし聞き出してるし、最終的に全部吐き出せてるんだからいいんだよ」


「ばーか」と最早口癖な言葉を言い、ついでに側にある駄菓子も口にする。

しまった、コレ麩菓子だ……喉が渇くな。
あー、この画面から今は目を離したくないから冷蔵庫まで動きたくなーい。


もさもさと咀嚼して、ゲームの中でサイコロを振って、俺はいつも通りにマイペースなカウンセリング(おはなし)を続けている。

そんな俺の態度に慣れている補助監督は、口を開いて勝手に喋る。



「天使ヶ原さんって仕事人間のクール系かと思ったらただの自己中駄目人間で最初驚きましたよ」


ふっ、と思い出し笑いなのか小さく息が漏れる音。


「……けど、まぁなーんも取り繕わなくていいから段々悩みが話せるんですよね、駄目人間様々です」

「…ま、君も最初はイイコチャンぶってたからなー、今じゃ俺様に面と向かってクレーム言うほどだもんな……しゃっ! やっと終わった勝ったぁー!! ふぅーー!」



カチカチ操作しているコントローラーを漸く離し、そのまま後ろに倒れ込む。

ギシリとソファーに寄りかかり、伸びをしてひっくり返った視界のまま、もう見ることはないであろう補助監督の顔を見た。



「んで、お礼まだ? 俺様への感謝のお言葉は?」



逆さな視界でも確かに目が合う。





・→←▼とある補助監督のカルテ



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作者名:シロツメココロ | 作成日時:2024年3月19日 14時

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