【広島高専】とある天使が書くカルテ (ページ17)

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「来てもいいとか言ったけど、ほぼ毎朝来るとは思ってなかったんですがねぇー」

「ええやん、なんか毎回律儀にお稲荷さん作ってくれるツンデレさんなんやから、晴厶君」

「てめぇ毒入れるぞ」

「味噌汁お分かりください」

「雲取クンまじマイペースだな」

とある日の朝っぱら、テーブルの上には何故か恒例となった三人分の朝食。

勿論俺がテキトーに作った。そして俺が作ったから美味い。
一品でも残したら指を折る所存である。

事務のおばちゃんから貰った野菜入れた味噌汁に、特売だった鶏胸肉におかかとマヨネーズ混ぜて焼いたやつ。豆苗とツナとポン酢混ぜたやつ。

あと、オマケで出汁の素とか使ったいなり寿司。

駄菓子やアイスで散財してる俺として、そこまで品質にはこだわらない事にこだわっている。
美味かったらそれでいい、そんでもって栄養も偏り過ぎなければ尚良し。

まぁ、普通に美味そうに食ってくれるなら、別にいいんだが。

取り敢えず毒とか疑ってから食ってほしい。今度ワサビ混ぜようか、特にいなり寿司。

「毎回なー、ほんまおおきになぁ、晴厶君」

「別に、来いって言ったのは俺様ですし金は後で貰います」

「あ、有料なんや……」

味噌汁を啜りながら片手で金マーク。ちゃりんと何処からか金属音が聞こえる幻聴付きだ。

伏見サンが「晴厶君のケチ」やらなんやら言ってるが、この場で飯を提供している俺の方が立場は圧倒的に強いからスルー。

「雲取クンは無料だかんなー。……ていうか、こうして毎朝来てくれるの意外だわ俺様」

「まぁ、そこの不審者に毎朝連れて来られるんで……」

箸でビシッと指した方向には阿保面(仮面)でいなり寿司を頬張る不審者。

取り敢えず雲取クンの肩をポンと叩き、

「……ドンマイだぜ」

と、憐れみの目を向けてやった。「はは」と乾いた笑いで手を弾かれた。悲しい。

「いや、二人とも朝っぱらから俺に当たり強ない？なんでなん？？」

ガタッと立ち上がり、なんでやなんでやと……はいはい、これも毎朝恒例だ。

だから、俺と雲取クンはいつも通りにため息と共に毒を吐く。

「「だって、伏見サンだし」」

とある日の朝食、1日の始まりである飯を食べるために箸を動かす、箸休めのカルテである。

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世迷言には延々とレシピが書かれているようだ。