【三重高専】重ね重ね、彩りと傘【イラスト】

終わり ページ5

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セルタちゃんはこの服を着るのが罰ゲームだとでも思っているのか？ いや、思っているのだろうな。

意外と顔に出るから分かりやすいのだ、この後輩は。


幼児化した時は感情丸出しでおもろかったなーと、思い出して少し笑いながら俺は口を開く


「服ってさ、俺は切り替えのスイッチやと思っとるんよ」

「スイッチ……？」

「おん。寝る時はパジャマ、学校は制服、仕事はスーツとかな。
セルタちゃんはずぅっとスーツやん。仕事だけやなくて、だらける切り替えも俺は大事やと思うワケ……お、これええやん」



セルタちゃんの身長に合いそうかつ、デザインがかわええ(俺基準)パーカーを、肩幅は合うかどうか確認する。


「……私にだらける時間なんて必要ありませんし、傘屋先輩に心配される筋合いはありません」

「あーあーあー、お前はほんっまに頑固で頭かったいなぁ。命令に従うのが好きな犬なんやろ、それやったら先輩の命令にも従っとき。はい、これ会計してちゃんと着ろよ」



パーカーを押し付け、店主のオッチャンへ「お会計でぇ〜す！」声をかける。


後ろで「ちょっと？！」と焦ってるセルタちゃんに「はよしろ！」と急かす。


「この後にセルタちゃんは俺にラーメン奢る予定あるし、更に喫茶店で期間限定抹茶わらび餅も奢る予定もあるんやで？ ほら、三重高専最速の術師なんやろ？ はよはよ！」

「まだお金使わす気ですか？！ あとそんな称号取った覚えないですしそもそも奢る予定なんて……嗚呼もう！ 傘屋先輩の暴君め！！」

「なっははは！ 俺の後輩になったのが運の尽きやでぇ〜？ 分かったらはよ忠犬わんこパーカー会計済ませろぉー！！」



俺たちのやり取りを見て、店主のオッチャンが豪快に笑う。


「仲が良いんだなぁ、君たちは」


その言葉に、俺は笑って否定した


「仲はよぉ、ないですわ。この後輩は面倒臭いし頑固で我儘で……ま、躾甲斐はありますがね」



この後輩が俺好みの素直で年相応な笑顔ができるようになるまで、取り敢えずは振り回すつもりなのだ。


ま、気分次第だけどな！



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