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「…で、どうしたよ。今朝」
先生はそう言いながら黒のソファに腰掛け、膝に肘を乗せて前のめりになって手を組んだ。
ギュッとソファの皮が音を立てる。
2人きりの生徒指導室。
カチカチと響く時計の音と微かに聞こえる野球部とサッカー部が練習する音だけが聞こえる。
「いや、ちょっと寝坊しちゃって」
「へぇ、珍しい」
「まあたまにはね、いいじゃないですか。…じゃ」
そう言って席を立った。
が、“おいおいおい待て待て” と言われ、目で座れと制される。
二宮先生はこういうのが本当に上手い。
あー、ダメだ、逃げられない。
「話終わってねぇじゃん」
「…はい、すみません」
「俺の言いたいこと、分かってんでしょうよ」
「まあ大体は」
「吸ってんの？」
「…いえ」
「じゃあ彼氏のか」
「…」
「未成年じゃねぇんだろ」
んんっ と先生が咳払いをして、ソファに座り直した。衣摺れの音がドキッとするほど大きく聞こえた。背もたれにもたれかかって次は腕を組んだ。
私は俯いていた顔を上げて先生を見たけど、やっぱり怖くてもう一度下を向いた。
「こんなこと言いたくないよ？ホントは。悪いことだとも思わないしね。だけどねぇ…教師なのよ。俺」
「…」
「俺は別にいいと思うよ。お前がその男を本気で好きならね。でもさ」
先生は私の座る椅子のそばまで近寄ってきて、隣にしゃがみ込んだ。
グッと顔を覗き込まれ、ドキリと胸が鳴った。
「危ないことに巻き込まれて欲しくないんだわ」
「…はい」
「小遣い稼ぎに思ってんならやめときな」
“それだけね、俺が言いたいのは” と言うと部屋のドアを開けて外に出してくれた。
「もう俺に呼ばれないよーに」
「…すみませんでした。…っあの、先生」
「ん？」
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作者名：わたたん | 作成日時：2018年10月8日 0時
