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「あー、なんでよ…もー」
今私は信号で足止めを食らっている。
しかも、学校の目の前の信号。あとちょっとなのに…
朝イチのHR間に合うかな
昨日は少し寝るのが遅かった。
きっとそれのせいで、今朝起きたらもう8時前だった。
8時20分に校門が閉まる。
その時間までに間に合えば…！
信号が青になった瞬間走り出した。
二宮先生と教頭先生がまだいる！
よし、ギリギリセーフ！
バタバタと走って先生達の横を通り過ぎた。
「おはようございます！ よっし、セーフ！」
「はいダメー」
二宮先生に制服の首根っこの所を掴まれて ズルズルと引っ張られる。
「ええ！なんでなんで！間に合ったじゃん！」
掴んだ制服の首元に先生は鼻を近付けた。
「これ、なんて説明すんの」
まずい…
昨日は誠治さんと制服のままカフェで会った。
制服で会う時はいつも誠治さんの煙草の匂いを消すために、匂い消しを振りかけてから学校に来るのに… 寝坊したせいで忘れてしまった…
そんなにキツく匂わないはずなのに 二宮先生の嗅覚が敏感なのか、気付かれてしまった
「いや、べ、別に私のじゃないし」
「 “私のじゃない” ？」
「あの、そのー、それは…」
「まあいいわ… 今日の放課後、生徒指導室な」
呼び出されてしまった。
そのまま二宮先生と一緒に教室へ向かった。
先生は何も言わずにただ私の隣を歩いた。
「…っあの、先生」
「んー？」
「そんなに匂います？」
「いや？そんなことないと思うよ」
「でも先生は気付いたじゃん」
「何でだろうね」
くふふ、 と二宮先生独特の笑い方。
なんだか見透かされてるみたいでちょっぴり怖い。
誠治さんと会うことはきっと良いこととは言えない。バレたら絶対怒られるし…
「たぶん俺のと同じ匂いがするから、じゃない？」
そう言うと、“ホラ、早く入れよ” と顎でクイっと促した。気付いたら教室に着いていた。
私は後ろのドアから教室に入った。
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作者名：わたたん | 作成日時：2018年10月8日 0時
